映像「NHK金融危機1年 世界はどう変わったか」を見る。
番組は、金融危機を、実体経済をはるかに上回るマネー経済の暴走ととらえ、①マネーの動き、②消費の動向、③日本企業のものづくりの3つの角度から現状を紹介すると。
A「復活するマネー」
・不況でも利益があげられる金融商品「死亡債」(死亡保険受取りの証券化)
・09年春から投資家の動きに変化(政府は公的資金を投入、事実上のゼロ金利)、3月上旬から株価急回復、下落した不動産の買い取りを加速、生き残った少数のヘッジファンドがさらに大きな力を
※規制を強化しようとするオバマ政権に金融業界は反発する
・世界の金融センター、香港は取引の自由度が高い(商品への規制が少なく、税率も低い)
・司馬氏のファンド10倍、中国市場が対象、欧米投資家の資金が集中
・09年3月人民銀行総裁論文、国際通貨体制の改革を、世界は多極化する、米ドルの独占を過去のもの
・競争力低下を回避したいアメリカ金融界、規制への反対論を強める、規制の弱い国(香港・ドバイ)に資金が動くと、交代する政府の規制論
・09年に入ってから原油・大豆・銅価格は回復
※番組はマネー経済の復活というが、経済の復活をとらえる目線をどこにもつか、各国国民の生活の改善という目線が登場しない
B「アメリカの消費は今」
・大量の不良債権(比率は全米で上昇の一途)、貸し渋り→経営悪化→不良債権拡大→雇用悪化→不況の進行→
・08年から貯蓄率は上昇、消費は底ばいのまま(ローンによる消費の低迷)、失業率9.7%
C「消費低迷 日本企業は今」
・クボタ、歴史上体験したことのない市場縮小、ローン金利の引き下げで対応するが
・日本からの輸出も半減(リーマンショック以後)
D「日本のもの作り」
・新たな市場を中国などに、過去に経験したことのない価格競争(高品質の地元メーカーと)、クボタは中国での売り上げを1年で1.5倍にしたが曲がり角(もっと安く)
・部品生産の現地化でコストを1.2倍くらいに、エンジン製造の基幹部品も中国・インドで
・日本の工場をどうするか、マザー工場(海外の工場への生産教育)、空洞化
・「雇用なき回復」、3月以降の株価回復
・11月5日ロンドンG20、回復の処方箋は見つけられず
・マネー経済は熱気をとりもどしつつある、株価上昇は実態経済を反映していない、先行きは不透明、安定的な成長はない
※全体として、反省なくもとの経済にもどりつつあるとするのが番組のまとめだが、そこにはヘッジファンド等に対するG20やG192からの規制要求が登場しない、「世界構造の変化」を重視しなければ
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