日本のODAのあり方をめぐるいくつかの情報整理。
政府の「海外経済協力に関する検討会」が,2006年2月28日に報告書を出している。
これについては共産党の志位委員長の簡潔なコメント(3月10日「赤旗」)がある。
「“政府系金融機関の一本化”という小泉首相の号令先にありき」ではないか,という角度からの批判である。
また「海外経済協力会議」の第1回会合が5月8日に行なわれている。
「第1回海外経済協力会議開催 戦略的な機能を強化」(ODA新聞)。
これには,次のような文章を含む「主張 海外経済協力会議 米・大企業奉仕見直しが先だ」(5月22日「赤旗」)がある。
「同会議の設置を提言した『海外経済協力に関する検討会』の報告書(二月二十八日)は、『国益』のためのODAをうちだしています。
『国益は価値観や理念を共有する国々を機軸とする国際関係の中に位置づけられた場合に、初めて実現可能』とのべているのは、日本の外交政策への同調を押しつけ、ODAに差別・選別を持ち込むものです。
日本の国連安保理常任理事国入りの支持押し付けの魂胆がありありです」。
なお「対中円借款の凍結解除は総合的に判断した」(朝日)は,06年6月6日の同閣議決定を伝えたもの。
「対中円借款はこれまで年度末に一括で決定していたが、小泉首相の靖国参拝などにより2国間の関係が悪化、3月末の閣議決定を見送っていた」ものである。
ただし,同会議では「中国への円借款740億円決定,中川農相は異議」(読売)にあるように,凍結解除の反対論もあったという。
西日本新聞の「社説 関係改善の転換点にせよ 対中円借款再開」(西日本新聞)は,「小泉首相が退陣する今秋に向け、日中双方は関係修復を軌道に乗せるための外交努力を本格化させる必要がある」という。
あわせて文中には「いくつもの難題をいかに克服し、対中関係をどう立て直すのか。
自民党の次期総裁候補は明確な戦略を描き、論議を深めておくことが急務だ。
米国でさえ国際社会での影響力を増す中国に『利害共有者』としての役割を働きかける対中政策を取るようになった」と,アメリカの戦略転換にふれた箇所もある。
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