小泉首相の靖国参拝をめぐる各国の反応から。
「日本人からみても、中国、韓国などの国民からみても、靖国神社は普通の神社ではない。それは人類の重要な歴史の評価に直接かかわり、第二次大戦の多くの被害国国民の感情を左右し、国際的正義と公理を認めるか覆すかに関係している。したがって、政府の指導者が参拝することは、単なる日本の内政ではなく、中日国交回復の政治的基礎にかかわり、日本の戦後復興の出発点にかかわり、第二次大戦後の国際秩序にかかわってくる。同時にもはや日本と中国との問題だけではなく、日本とアジアの被害国の間、日本と国際社会の間の問題になっている」。
かなりの長文である。
(韓国)「盧大統領『独島、教科書、靖国・軍慰安婦は実質的措置せねば』」(中央日報)。
直接,日本にふれたのは以下の箇所。
「盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は15日『日本は過去に対して心より反省し、これまでの謝罪を裏付ける実践をもって二度と過去のような過ちを繰り返す意思がないことを証明しなければならない』とし『独島(トクト、日本名竹島)、歴史教科書、靖国神社参拝、そして従軍慰安婦問題の解決のための実質的措置がそれだ』と述べた」。
「盧大統領はこの日、第61周年光復節祝辞を通じて日本の憲法改正論議に懸念を示しながら『第2次大戦が終わってから長い歳月が経ち、平和憲法改正をもって是非を論ずるのはいきすぎたこと。しかし日本は憲法を改正する前に先にすべきことがある』とした」。
「盧大統領は特に『地域の平和と協力秩序を脅かす覇権主義に警戒しなければならない』と前提した後『過去の北東アジアの平和を破ったことは列強国の覇権主義だったし、そのたびに韓半島は戦争の渦に巻き込まれなければならなかった。日露戦争、日清戦争もその名とは違い、列強国が我々の地で展開した侵略戦争だった』とし『不幸にも北東アジアには今も過去の不安な気運が立ち込めている』と言った」。
(東アジア)「靖国問題、アジア諸国は地域統合への影響懸念」(日経新聞)。
「中韓同様に第2次大戦で日本の侵略行為の被害を受けた国が多いアジアでは、日中、日韓関係の悪化に懸念を示す声や報道が目立った。安全保障や経済連携を通じた東アジアの地域統合構想に悪影響を与えかねないとする分析も聞かれた」。
「インドネシアのハッサン外相は15日『中国が批判を強めるなど東アジアの緊張が高まっている。アジア・太平洋地域全体の平和と安定にかかわる』と指摘。『日本政府は慎重に対処してほしい』とも要請した」。
「シンガポール外務省スポークスマンは『参拝は中韓や他のアジア地域を強く刺激する。東アジアの関係強化や協力を築くにあたり、何の役にも立たない』と断言。ベトナム外務省も『歴史を正しく認識することが日本と近隣諸国が友好・協力関係を発展させるうえで重要だ』とのコメントを発表した。台湾の呂慶龍・外交部(外務省)報道官は記者会見で『経済大国、日本が東アジアの平和と安定に貢献するよう希望する』と述べた」。
(アメリカ)「 首相参拝、米政府は日中・日韓関係悪化を懸念」(読売新聞)。
「米政府は、小泉首相の靖国神社参拝で日中、日韓関係が一層悪化し、北朝鮮の核問題などへの各国の対応の足並みが乱れかねないことを懸念している」。
「ブッシュ大統領は7月の読売新聞社などとの会見で、日中、日韓関係との関係改善は『わが国の国益だ』と指摘し、日本と近隣国との関係を注視していることを強調した。米国が中東やイラン問題への対応に追われる中、北朝鮮などアジアの問題では、同盟国の日本に指導力を発揮してもらいたいというのが米政権の『本音』だ」。
「ただ、大統領は、近隣国との関係改善は『(今後の)日本の指導者が決めることだ』と述べている。米政権内では、アジア外交の本格的な仕切り直しは『「ポスト小泉」を待つしかない』(ホワイトハウス関係者)との見方が一般的だ」。
政府による靖国史観の行動による公認を問題だと考えている国は,もちろん中国・韓国の2ケ国だけではない。
また,問題は「過去」の評価をつうじて,アジアの現在と未来にかかわっている。
過去に目を閉ざすことにより,現在と未来にもまた無責任な態度をとりつづけるのか否か。それがこの国に問われている。
主権者たるわれわれ国民一人一人の熟慮が求められるところである。
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