安倍新首相の「所信表明演説」から,財政政策にかかわる部分。大急ぎのメモ。
①「わが国財政は、極めて厳しい状況にあり、人口減少や少子高齢化が進めば、将来の世代に一層重い負担がかかることは明らかです。歳出・歳入の一体改革に正面から取り組みます。『成長なくして財政再建なし』の理念の下、引き続き、経済財政諮問会議を活用して、経済成長を維持しつつ、国民負担の最小化を第一の目標に、歳出削減を徹底し、ゼロベースの見直しを行います」。
※人口減・少子高齢化はいうが,その原因の分析はない。自己の責任も。
※結局は大企業の「成長」を維持し,生活関連予算の「削減」を特徴とするほかない。
②「2010年代半ばに向け、債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるため、今後5年間に歳出改革を計画的に実施し、まずは2011年度に国と地方の基礎的な財政収支『プライマリー・バランス』を確実に黒字化します」。
※税収減の中心である法人税のあり方には一言もふれない。
③「このため、来年度予算編成に当たっては、成長に資する分野への重点化とともに、効率化を徹底して、メリハリの効いた配分を行い、新規の国債発行額を今年度の29兆9730億円を下回るようにするなど、着実に黒字化に向けての第一歩を踏み出します」。
※さっそく医薬・工学・情報技術への重点投資ということか。
④「国や地方の無駄や非効率を放置したまま、国民に負担増を求めることはできません。抜本的な行政改革を強力に推進し、簡素で効率的な、『筋肉質の政府』を実現します」。
※「筋肉」に国民の生存権保障はふくまれない?
※なぜ社会保障が「無駄や非効率」なのかの説明は?
⑤「国の行政機関の定員について、5年で約1万9000人以上の純減を行うなど、公務員の総人件費を徹底して削減します。公務員の労働基本権など、公務員制度全般について、国民の意見を十分に聴きながら、見直しを進めます」。
※公務員のどういう分野の削減が。またしても医療・福祉関連ばかり?
※加えて「愛国」の公務員づくりに向けた労働基本権の見直し。
⑥「2008年度から政策金融機関を一つに統合するとともに、国の資産の売却・圧縮を積極的に進め、2015年度までに政府の資産規模のGDP比での半減を目指します」。
※どういう基準で売却物件を決めるていくか。
※売却先はどういう企業に? 結局,もうかるものは民間に。
⑦「郵政民営化法の基本理念に沿って、2007年10月からの郵政民営化を確実に実施します」。
※日米の宅急便・銀行・保険業者の利益のために。
⑧「公共サービス改革法に基づく市場化テストの積極的な実施により、官業を広く民間に開放し、民間活力を最大限活用します」。
※「市場化」の中でサービスの質をどのように維持するつもりなのか。
⑨「特別会計の大幅な見直しを実行に移すとともに、道路特定財源については、現行の税率を維持しつつ、一般財源化を前提に見直しを行い、納税者の理解を得ながら、年内に具体案を取りまとめます」。
※法人税減税の埋め合わせに?
⑩「公共事業については、これまでの改革努力を継続する中で、未来への投資となる、真に必要な社会資本の整備を、重点化や効率化を徹底しながら実施します」。
※いらない空港・港湾づくりを大型ゼネコン向けに集中する。
※「未来への投資」が無駄を正当化する文言であることにも注意がいる。
⑪「地方の行財政改革を進め、自治体の再建法制の整備に向けた検討など、『地方の自律』を求めます」。
※「自律」の名での地方の格差容認。
⑫「このような改革を徹底して実施した上で、それでも対応しきれない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保するため、抜本的・一体的な税制改革を推進し、将来世代への負担の先送りを行わないようにします」。
※社会保障・少子化対策は,仕方がなしの残り仕事。
※これが安倍流ネットワークの実態となる。
※そして,それが欲しければ増税を認めろと。兵糧攻め+増税強要。
⑬「消費税については、『逃げず、逃げ込まず』という姿勢で対応してまいります。
※つまり「やる」のだと。
⑭「さらに、21世紀にふさわしい行政機構の抜本的な改革、再編や、道州制の本格的な導入に向けた『道州制ビジョン』の策定など、行政全体の新たなグランドデザインを描いてまいります」。
※地方の地域密着を地方の集権化へと改革。生活も政治も。
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