安倍新内閣の顔ぶれについて。
①海外で戦争のできる国づくりへ5年で改憲,②侵略・加害の歴史を肯定,③それに応じた「愛国」教育,④ジェンダー・フリーは大嫌い,⑤大企業減税・庶民増税,⑥日米軍事同盟強化と軍拡推進……。
いかにも「反動的」というなつかしい言葉が似合う内閣である。それが誰にもわかりやすいのがこの内閣の特徴か。それだけに国民の運動をひろげる条件は拡大する。その条件をいかに効率的に活用しうるかどうか,そこがそれぞれ腕の見せどころ。
【改憲について】「党内切っての改憲・タカ派政治家が、要職をがっちり握った布陣」「五年という年限を区切って改憲をめざす安倍晋三首相のもと、憲法改悪と歴史問題での逆流がいっそうすすむ危険性」。
麻生太郎外相の留任。「同氏は首相の靖国参拝のみならず、天皇参拝も望ましいと発言して物議をかもした根っからの“靖国派”」。「改憲についても、『自民党結党以来の党是であり、必ず改正すべきだ』(八月二十七日)とのべるなど、強固な改憲論者」。
中川昭一政調会長。「今年の八月十五日に閣僚として靖国神社を参拝するなどタカ派の代表格」「安倍首相とは、歴史教科書を攻撃した『日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会』で行動を共にしてきた“盟友”」。
「閣僚の実に九人までが〇五年の衆院選で、改憲右翼団体・日本会議の応援を受けています。安倍氏の敷いた改憲・タカ派布陣からは、安倍首相がうたう「戦後レジーム(体制)からの脱却」が何を意味するのか、歴史逆行の危険性が見え隠れします」。
【教育について】「文部科学相ポストに、年来の教育基本法改悪論者である伊吹文明氏」「伊吹文科相は昨年十月の衆院予算委員会で、小泉純一郎首相(当時)に『郵政民営化と同じような熱意を持って…憲法の問題、教育基本法の問題、地域社会と家族の復権の問題に取り組んでもらいたい』と迫りました」。
「官邸主導の『教育改革』のために下村博文前文部科学政務官を官房副長官に、山谷えり子参院議員を教育再生担当補佐官に任命」。
「下村官房副長官は、右翼改憲団体の日本会議と連携する『教育基本法改正促進委員会』の委員長代理」「八月二十九日に開かれたシンポジウムでは『自虐史観に基づいた歴史教科書も官邸のチェックで改めさせる』と発言」。
「山谷補佐官も『同改正促進委員会』理事。性教育・ジェンダーフリー教育を攻撃する自民党のプロジェクトチームでは安倍座長の下で事務局長」。
「下村・山谷両氏は〇四年の自民党英国教育調査団主要メンバー。安倍首相がモデルとするサッチャー教育改革を学び、選別と統制の『教育改革』を提唱する最右翼」。
【経済改革について】「財務相に就任したのは尾身幸次元経企庁長官。記者会見で『経済の活性化をしつつも、財政再建に取り組み後世にツケを残さない』と表明。税制『改正』については『本格的な検討は来年の秋以降』とし、参院選挙後に消費税増税に取り組む考えを表明」「その一方、財界・大企業が求める研究開発投資を促進するための企業減税を『考えたい』前向きな姿勢を」。
「『構造改革』の司令塔を仕切る経済財政担当相に任命されたのは大田弘子政策研究大学院大学教授」「竹中平蔵前総務相のブレーンの一人で、内閣府の政策統括官として経済財政諮問会議の政策作りを実務面で担当してきた経歴の持ち主」「自著(『良い増税 悪い増税』)で、所得税控除の大幅削減や課税最低限引き下げ、消費税引き上げの考えを示しています。一方、法人税減税の必要性を強調しています」。
「自民党税制調査会の会長を務めてきた柳沢伯夫元金融相は厚生労働相に就任。これまで消費税の二ケタ増税の必要性を表明」「記者会見でも社会保障の財源について『税の裏打ちは避けられない』と増税に言及」。
【安保・外交について】「在日米軍再編を推進してきた麻生太郎外相の留任、国防族議員の代表格である久間章生氏の防衛庁長官就任で、地球規模の問題に共同で対処する『世界の中の日米同盟』強化路線を継承する布陣」。
「従来は任期も比較的短く、自民党の要職に就いた議員が就任することはなかった防衛庁長官のポストに、前党総務会長の久間氏が就任したことは、来年度以降の『防衛省』昇格をにらんだ配置」「同氏は、日本の軍需産業代表や国防族議員が集まる『日米安保戦略会議』で、『日米関係を一歩でも米英関係や米豪関係に近づけたい』(五月十四日)などと発言。文字通り『海外で戦争する国』を目指しています」。
「麻生外相は、安倍首相が主張する集団的自衛権の行使について、インド洋へ派兵中の自衛隊艦船が米艦を『防衛』するという事例を挙げて容認を迫るなど、首相と共同歩調」「北朝鮮のミサイル発射問題では、『核を抱えたミサイルが日本に向けられるなら、被害を受けるまで何もしないわけにいかない』と述べ、『敵基地攻撃能力』の保有に理解を示しました」。
「新内閣全体を見ると、麻生氏以外にも中韓両国や北朝鮮への強硬発言を繰り返す閣僚が目立ち、ゆきづまった『アジア外交』にいっそうの影を落としかねません」。
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