チャベス,ベネズエラ社会主義のための国営化及び憲法改正を公表
この記事によると,チャベス大統領は「授権法」を「ボリバル的社会主義」の実現に向かう5つの「原動力」の第一に位置づけている。
5つというのは「『授権』法、憲法改正、国民教育、国家権威の再構成、そして共同社会権限の爆発的増加」である。
さらに授権法については,チャベス時代を含めて過去に前例があるとのこと。
少なくとも,これはベネズエラ国民にとって,突飛なことではないらしい。
「1.授権法(ley habilitante )、チャベスはこれを計画の「母法」と述べた。この法は、1年の期間に亘り、チャベスが法令の形で、特定の問題に関する法案を通すことを許す。この種の法は過去幾度か、ベネズエラ大統領に与えられたことがある。例えば、カルロス・アンドレス・ペレス(1974-1979年)の第一期目や、チャベスの大統領職の初期である。〔後者〕は1999年憲法制定後、新しい憲法に沿うよう国の法律を更新するためであった。」
「この授権法の一部は、電気通信会社のCANTVや電力会社のような、過去の諸政権によって民営化された基幹産業の国有化になる、とチャベスは述べた。 「民営化されたものすべてを、国営化せよ」とチャベスは言った。」
「チャベスはまた、この授権法の一部として他の革命的な法律が法令ごとに可決される、と示唆した。」
詳細については以下を。
チャベス、ベネズエラ社会主義のための国営化及び憲法改正を公表
〔Chavez Announces Nationalizations, Constitutional Reform for Socialism in Venezuela:Original Article in English/ZNet原文〕
グレゴリー・ウィルパート〔Gregory Wilpert〕;Venezuelanalysis.com;2007年1月10日
カラカス、2007年1月8日(venezuelanalysis.com) ――新閣僚就任式において、ベネズエラのチャベス大統領は、ベネズエラにおける21世紀の社会主義の確立へと向かう、一連の劇的で新しい方策を公表した。これらの新しい方策に含まれるのは、新たな憲法制定会議の召集や、基幹産業の再国営化である。
演説でチャベスは、先の彼の大統領任期である1999年から2006年を、「過渡期」として描写した。それは今終わり、「私達は今、新しい時代、2007年から2021年のシモン・ボリバル国家計画〔Proyecto Nacional Simón Bolívar〕に、入った。」この計画が向かうのは、「ボリバル主義的社会主義であり、それには、より高い水準の努力と専心、明快さと効率性、及び革命的な特質を要する」とチャベスは述べた。2021年がチャベスにとって意義深い理由は、それがベネズエラ独立の200周年に当たるからである。
満期として数えると二期目のための水曜日の就任式において更なる詳細を明らかにするとチャベスが約束したこの新たな計画は、5つの「原動力」で構成される。すなわち、「授権」法、憲法改正、国民教育、国家権威の再構成、そして共同社会権限の爆発的増加である。
1.授権法(ley habilitante )、チャベスはこれを計画の「母法」と述べた。この法は、1年の期間に亘り、チャベスが法令の形で、特定の問題に関する法案を通すことを許す。この種の法は過去幾度か、ベネズエラ大統領に与えられたことがある。例えば、カルロス・アンドレス・ペレス(1974-1979年)の第一期目や、チャベスの大統領職の初期である。〔後者〕は1999年憲法制定後、新しい憲法に沿うよう国の法律を更新するためであった。
この授権法の一部は、電気通信会社のCANTVや電力会社のような、過去の諸政権によって民営化された基幹産業の国有化になる、とチャベスは述べた。 「民営化されたものすべてを、国営化せよ」とチャベスは言った。
この公表の後、ニューヨーク株式市場がCANTVの証券取引を停止するまでの間、CANTVの株式は14.2%下落した。元国営のこの会社は1991年に民営化された。
また政府は、国営石油会社がオリノコ川流域の超重質油開発において所有する過半数以下の株式所有を、過半数以上へと変えるべく推し進める。オリノコの4つの合弁事業の参与者は、米国の諸企業、エクソンモービル、コノコ及びシェブロン、フランスのトタル、英国のBPそしてノルウェーのスタットオイルである。これらは1日に総合で、ベネズエラの総生産の約18%に当たる60万バレルの石油を生産している。この処置は、かろうじて採算がとれる油田における外国企業の運用から合弁事業を創出するという先の処置に次いで起きた。
チャベスはまた、この授権法の一部として他の革命的な法律が法令ごとに可決される、と示唆した。 授権法の草案はほぼ準備が整っており、国民議会に間もなく提出される。
2.憲法改正が、ボリバル革命の新しい段階の第二の原動力である。 チャベスは彼が予見している変化が如何なるのものなのかを述べず、これが「憲法改正権能」[憲法改正会議]を要すると述べるに止まった。「8年前に私達が[権能]を招集したように、私は、私が述べている原動力がより良い未来に私達を導くために、憲法改正権能に訴え、召集する。大衆の[草の根の]力に、真の可燃物に。」
今日チャベスが言及した憲法上の変化は、中央銀行の独立の廃止である。そのような独立は新自由主義の手段である、と〔彼は〕述べた。チャベスが過去に言及したもうひとつの変化は、大統領職の任期制限――現在2期――を廃止する可能性である。
3.第3の 「原動力」は、「ボリバル主義の大衆教育」の新たな運動に着手することであり、それは、「新しい価値観を深め、個人主義、資本主義、利己主義という古い価値観を打破する」であろう、とチャベスは述べた。
4.「国家地図のための新しい権威の幾何学」が第4の「原動力」である、とチャベスは述べ、それが幾分抽象的であることを認めた。チャベスは彼が言及していることは、アプレ州のような疎外され貧しい地域が今よりもより組み込まれるようにするための、ベネズエラにおける政治権威の再編成の必要性である、と説明した〔訳注1〕。また、彼の支持者らが通過させた法、市議会の法律が機能しておらず、改革を必要としている、と彼は述べた。
5.共同社会権限の爆発敵増加は、次の段階で最強の原動力である、とチャベスは述べた。チャベスによれば、この言及は、ごく最近創設された200から400の家族から成るコミュニティー委員会に更なる権限を与えることである。それは「コミュニティー国家」を創設するべく、現存する権力機構をゆくゆくは凌駕するであろう。必要なことは、「ブルジョア国家を解体」することである、とチャベスは述べた。なぜなら、全ての国家は「革命を妨げるべく作られる」のだから。その代わりに、古い国家は「革命的国家」へと変えられなければならない。
ベネズエラに干渉するとは、OAS〔米州機構〕の事務総長は「馬鹿」 (Pendejo)である
反対派テレビ局RCTV〔ラディオ・カラカス・テレビシオン〕の放送免許を更新しないという決定の正当性を主張し、チャベスはOASの事務総長ミゲル・インスルサを非難した。彼はチャベスが決定を再考するよう催促していた。5月下旬にRCTVの放送免許は切れる。先週チャベスは、2002年のクーデターの試み及び石油産業閉鎖に対する支持ゆえに、RCTVは無責任な行動を取ってきており、そのため〔免許〕を更新しない、と公表した。
AP通信によれば、先週インスルサはチャベスの公表に対する反応として声明を発した。その中で彼は、「特定の放送局の閉鎖は、我々の半球の歴史において稀な処置であり、ここ数十年の民主主義において前例がない」と明言し、この行動がもたらし得る「政治的な影響」についてインスルサは警告した。
彼は続けて、RCTVに閉鎖を迫る如何なる措置も、「表現の自由に対する検問といった形の外観を与え、それと同時に他の報道組織に対する警告となり、彼らが、同様の運命に直面する恐れを前に、自主規制することへと繋がる」と述べた。
チャベスは今日腹立たしげにインスルサに反応し、インスルサを「馬鹿」 (Pendejo)と呼び、彼の辞任を呼びかけた。「このレベルに達した」事務総長「は、尊厳を保つために、職を辞さなければならない」とチャベスは言い、「OASを、フィデル・カストロが一度...植民者らの省と呼んだものへと変えたいと再び誰かが望んでいるのでないのであれば」と付け加えた。
ベネズエラはOASの次回の会合で、「干渉および尊重の欠如」のため、インスルサを糾弾する。インスルサに向かってチャベスは、「私達は恐れておらず、貴方は完全に間違っている」と述べた。
RCTV免許を更新しないという計画に対しベネズエラは、広範囲に及ぶ国際的な批判を受けたが、チャベスはその様な反応は気にしておらず、彼の決定を覆すことは出来ず、放送免許更新に対する行政の自由裁量権を与えるベネズエラの法律に完全に則っている、と述べた。ベネズエラのウィリアン・ララ通信情報大臣は、免許が満期になってもRCTVが大陸全域で番組を販売しており、ケーブルテレビに番組を売り出すことを選択することが出来る故に、RCTVが閉鎖する必要はない、と示唆した。
「社会主義へ向かうベネズエラの道」のための新内閣をチャベス宣誓就任させる
ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスは今日、彼の内閣に新しい15人と、12人の継続メンバーを宣誓就任させた。内閣改造は、チャベスが水曜日に、ベネゼエラ大統領として完全二期目の最初に、彼自身の就任宣誓を更新する直前に当たる。チャベスによれば、新大臣らは、ベネズエラにおける「21世紀の社会主義」の実行という政権の事業を推し進めることを担当する。新大臣の多数に当たる7人は、国民議会から、またほぼ全てがチャベス自身のMVR〔第五共和国運動〕党から選ばれた。
式の最初の演説で、ホセ・ビセンテ・ランヘル元副大統領は、彼や他の大臣が政権を去るとはいえ、彼らは「革命を去りはしない」ことを明確にした。ランヘルは続けて、副大統領としての彼の後継者に敬意を表した。彼と〔ランヘル〕は、特にホルヘ・ロドリゲス〔新副大統領〕の殺害された父親――70年代ベネズエラ左翼の指導者――を通して、生涯にわたる友情を保ってきた。
ロドリゲスは演説で、1983年に18歳になった時、彼が初めて大統領に投票したのがランヘルである、と述べて敬意に答えた。ロドリゲスは続けて、12月3日の近日の大統領選挙が、ありふれた選挙ではなく、「私達に未だに存在する途方もなく大きい諸問題を解決し、前進することを義務付ける」ものである、と述べた。ロドリゲスは更に、反対派のRCTVテレビ局の放送免許を更新しないという決定に対する支持を表明し、それが如何なる民主主義国家も持つ権利であると述べ、更新拒否が選挙以前に公表されていた故に、それが国民が望むことであるということをほのめかした。
チャベスは珍しい宣誓で大臣らを宣誓就任させた。彼らが言い換えて誓ったものは、国の独立の英雄シモン・ボリバルがスペインからのベネズエラ独立のために戦いを開始したときの宣誓であり、その宣誓に目標はベネズエラの独立のみではなく、社会主義でもある、と付け足した。その宣誓によれば、彼らは「社会主義に向かうベネズエラの道の構築において、決して腕や魂に休息を与ることはない。」
新しい大臣は以下の通り:
国民議会(AN)の財政委員会の委員長を務めたロドリゴ・カベサスが、チャベスの長年の部下であるネルソン・メレンテス〔Nelson Merentes〕に取って代わり、新たな財務大臣となる。〔メレンテス〕はベネズエラの中央銀行の重役会に加わる。
ベネズエラ東部のスクレ州のMVR議員のルイス・アクーニャ〔Luis Acuña〕が、サムエル・モンカダ〔Samuel Moncada〕歴史教授に代わり、新しい高等教育大臣となる。
チャベスの兄、アダン・チャベスは大統領府担当大臣から、チャベスの下最も長く務めているひとりであるアリストブロ・イストゥリス〔Aristóbulo Isturiz〕に取って代わり、教育大臣となる。
医師であり国民議会におけるMVR代議士のエリク・ロドリゲスは、フランシスコ・アルマダ〔Francisco Armada 〕に代わり、新しい保健大臣となる。
共産党の代議士、ダビド・ベラスケス〔David Velasquez 〕は、退役軍人のガルシア・カルネイロ〔Garcia Carneiro〕に取って代わり、新しい国民参加・社会開発大臣となる。ベラスケスは、新しいコミュニティー委員会法を書いた主要人物であり、〔その法〕は現在ベネズエラにおける地元統治を変革させており、その施行は大衆参加省の庇護の下にある。
もうひとりの職を去る長期大臣は、科学・技術大臣のジャディラ・コルドバ〔Yadira Cordova〕である。 この役職の新しい大臣は、おおよそ1年前まで高等教育大臣を務めていたエクトル・ナバロ〔Hector Navarro 〕である。
リカルド・ドラド〔Ricardo Dorado〕から引き継ぐ新しい労働大臣は、国民議会代議士ホセ・ラモン・リベロ〔José Ramón Rivero〕である。
ベネズエラの3つの州の飲料水の供給を保証する責任がある国営企業Hidrocentroの元代表取締役ジュビリ・オルテガ〔Yuvirí Ortega〕が新しい環境天然資源大臣となる。 彼女はジャクリーン・ファリアス〔Jacqueline Farías〕に取って代わる。
チャベスはウィルメル・カストロ・ソテルド〔Wilmer Castro Soteldo〕に代わり、観光大臣にティティナ・アンスアヘ〔Titina Anzuaje〕を任命した。アンスアヘも国民議会からであり、親チャベス団体Clase Medio en Positivo(肯定的中流階級)の設立者の一人。
大統領主席補佐官として機能する大統領府担当大臣は、ウゴ・カベサス〔Hugo Cabezas〕である。彼は数年間、身分証明書や査証を発行する身分証明書登録局(ONIDEX)を率いてきた。 チャベスの兄アダン・チャベスは一年ほど前にこの省の大臣を務めていた。
更にチャベスは2つの新しい行政上の役職を創設した。元内務法務大臣のヘッセ・チャコンを任命したテレコミュニケーションおよび、長年の先住民活動家のニシア・マルドナド〔Nicia Maldonado〕を任命した先住民関連の省である。
先週チャベスは既に国民議会議員ペドロ・カレーニョ〔Pedro Carreño 〕がヘッセ・チャコンを引き継ぎ、新しい内務法務大臣となることを発表していた。
ベネズエラでは大統領によって任命される新副大統領は、ホセ・ビセンテ・ランヘルに取って代わり、元選挙委員会委員長のホルヘ・ロドリゲスである。
大臣職が確証されたのは、エネルギー石油相および国営石油企業PDVSA総裁としてラファエル・ラミレス、外務大臣にはニコラス・マドゥロ〔Nicolas Maduro〕、軽工業貿易大臣にマリア・クリスティナ・イグレシアス〔Maria Cristina Iglesias 〕、通信情報大臣にウィリアン・ララ 〔Willian Lara〕、そして企画開発大臣にホルヘ・ジョルダニ〔Jorge Giordani 〕である。 同様に確認されたのは、農業国土省にエリアス・ハウア〔Elias Jaua 〕、防衛大臣ラウル・バドゥエル〔Raul Baduel 〕、食糧大臣にエリカ・ファリアス〔Erika Farías 〕、大衆経済省にペドロ・モレホン〔Pedro Morejón 〕、環境・住宅・国土開発大臣にラモン・カリサレス〔Ramón Carrizales 〕、文化大臣にフランシスコ・セスト〔Francisco Sesto 〕、対外貿易・統合大臣にグスタボ・マルケス〔Gustavo Márquez 〕、インフラストラクチャー大臣にホセ・カベジョ〔José Cabello 〕、そして基幹産業大臣にはホセ・カーン〔José Khan 〕である。
職務を終了した大臣らの新しい職が何になるのかは明らかではないが、過去チャベスはしばしば大使の職を彼らに与えてきた。
訳注:
1-二期目就任式後の演説でチャベスは「権力の幾何学」とは、「ベネズエラの地理における多くの地方自治体の分割の仕方の再変更に関わっている、と説明した。チャベスによれば、多くの地方自治体が、多すぎる人口を持つ、あるいは多すぎる領土を持つ一方で、その他は小さすぎる故に、道理にかなっていない」という。(英文参照元)
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