安倍首相の「あいまい戦略」が,はやくも危機に瀕している。
東アジアへの交渉力・発言権を保てという財界・アメリカの要請に従わぬわけにはいかず,
かといって,強力な支持勢力である「靖国史観派」の「同志」を「裏切る」こともしがたい。
だが,結局,道は二つに一つである。
いつまでも両方を立てる「あいまい=ごまかし戦略」など,そもそも長く通じるものではない。
靖国の代わり? 安倍首相が明治神宮参拝(中国新聞,'07/1/6)
「安倍晋三首相は六日、現職首相として六年ぶりに東京・代々木神園町の明治神宮を参拝した。中国首脳の来日が具体化する中、当面困難視される靖国神社参拝に代え、森喜朗元首相までほぼ恒例となっていた明治神宮参拝を復活させることで、保守層に自身の政治姿勢をアピールしたい思惑もありそうだ。
首相はモーニング姿で訪れ、「内閣総理大臣安倍晋三」と記帳、二礼二拍手一礼の神道形式で参拝した。下村博文官房副長官が同行した。参拝後、首相は記者団に参拝理由を聞かれ「由緒ある大切な神社だから。私は(私邸に)近いから、よく行っている」と述べた。
ただ、参拝を進言したという首相周辺は「保守主義者としての姿勢をはっきり示したい思いが首相にある」と明かす。
首相は従来、靖国参拝に強いこだわりを示し、昨年は官房長官時代の四月に参拝。だが、これが判明した八月の記者会見で事実関係の確認を避け、首相就任後も中韓両国に対し参拝するかどうか言及しないと説明した。
参拝の意思を明確にしない「あいまい戦略」は両国との関係改善に一役買う一方、保守層の反発を招く危険性もはらんでおり「首相の信条は変わっていない」(周辺)ことを見せる必要があるというのだ。
中国側は、靖国参拝を繰り返した小泉純一郎前首相時代と異なり、首脳会談を頻繁に行うことで参拝させない戦略に方針転換。温家宝首相が四月の日本訪問を検討しているのも、春季例大祭に合わせた参拝を阻止するためとの見方が強い。
日中国交正常化三十五年を迎える九月には胡錦濤国家主席の初訪日も検討され、首相が靖国参拝に踏み切るのは難しいのが実情だ。」
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