韓国議員47名からの安倍首相への手紙は,日本政府への批判とともに共同調査団の構成という提案を行っている。
事実の当否が問題であれば,安倍首相にはこれを拒む理由はどこにもないはずである。
温家宝首相の来日を前にした外交部の記者会見は,「歴史は関係を前進させるためのエンジンであり、覆い隠してはならない」と強調している。
首相就任後,まっさきに中国に飛んだ安倍首相だが,さて今回の対応はどのようになるか。
当の安倍首相は,訪米を前にブッシュ大統領に申し開きを行っている。河野談話の継承を語っているが,「狭義の強制性はない」との自身の見解については何も説明がなかった様子。
靖国史観より日米同盟,そのためにはどんなその場しのぎも厭わない。そういう姿勢ということだろう。
しかし,同時に,安倍首相のお仲間である「議員の会」は,下院の「慰安婦」決議を採択させないために会長自ら訪米をする。ここにも安倍流の右往左往「二枚舌」外交が現れている。
こうした政治の”安倍状態”に,韓国の政治家やメディアが反発するのは当然である。「苦肉の策」「尊敬を受けられない」など。
「政府は尊敬できないが,国民の取り組みには尊敬できるところがある」,せめて,そのような言葉が得られる今回の選挙にしたいもの。
慰安婦問題で韓国議員47人、安倍首相に謝罪要求(日経新聞,4月3日)
【ソウル=峯岸博】韓国与党「開かれた我が党」(ウリ党)の蔡秀燦(チェ・スチャン)議員は3日の記者会見で、韓国の与野党47議員が3月30日付で従軍慰安婦問題に関して安倍晋三首相に書簡を送ったと明らかにした。書簡は「安倍首相や日本政府はあいまいな表現で旧日本軍による『性奴隷』動員の強制性を否定している」と指摘、首相と日本政府に国家として慰安婦に「謝罪と賠償」をするよう要求。日本側が応じなければ、慰安婦の当事国が参加する共同調査団を構成する考えも示した。
外交部:慰安婦問題で「安倍首相の言動に注目」(中国情報局ニュース,4月4日)
中国外交部の秦剛副報道局長(写真)は3日、定例記者会見を開いた。11日からの温家宝首相の訪日を前に東シナ海のガス田や従軍慰安婦問題など日中関係について多くの言及があった。3日付で中国新聞社が伝えた。
温首相の訪日について秦副局長は「日中関係の改善と発展にとって大きな意義がある」と説明。温首相の訪日時の国会演説に関して「この非常に重要な場面を利用して、日中関係の改善や発展、両国の協力について、中国政府の政策と主張を説明する」と述べた。
東シナ海のガス田問題をめぐっては「日中両国は一衣帯水だ。東海(東シナ海)の境界問題で意見の相違があるとしても、両国関係を悪化させたり、東海の平和と安定を損なったりしてはならない」と語った。
一方、従軍慰安婦をめぐる問題について「我々は安倍首相の最近の言動に注目している。従軍慰安婦など歴史上の問題に対して中国政府は『歴史は関係を前進させるためのエンジンであり、覆い隠してはならない』と一貫して主張している。日本が歴史問題を正確かつ適切に処理し、日中関係が進展するよう希望する」と話した。(編集担当:菅原大輔)
日米首脳が電話協議、安倍首相「河野談話を継承」(日経新聞,4月3日)
安倍晋三首相は3日夜、ブッシュ米大統領に電話をかけて約20分間協議した。首相は従軍慰安婦問題への対応に米国内で批判が高まっていることを踏まえ、おわびと反省の気持ちを記した1993年の河野洋平官房長官談話を継承していく考えを伝えた。
大統領は「率直な説明に感謝する。自分は首相を信じているし、日本国民の元慰安婦の方々に対する同情の気持ちを信じている。今の日本は第二次世界大戦中の日本ではない」と理解を示した。
首相は協議の最後に自ら慰安婦問題に触れ「自分の真意や発言が正しく報道されていない」と強調。「自分はこれまでの政府の立場を踏襲し、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に心から同情し、極めて苦しい状況におかれたことについておわびを表明している」と語った。26日の初訪米を控え、早期の沈静化を狙ったとみられる。
首相は7月末に期限切れになるイラク復興支援特別措置法を2年延長する考えを伝え、大統領は謝意を示した。(00:07)
慰安婦、対北 成果は? 首相『満を持して』訪米へ(東京新聞,4月5日)
安倍首相が今月二十六、二十七の両日、就任後初めて訪米する日程が固まった。首相サイドは半年間の「助走期間」を置き、満を持しての訪米と位置づけており、米側も、ブッシュ大統領夫妻が首相、昭恵夫人との夕食会を予定するなど、歓待する構えだ。
首相は四日、記者団に「日米同盟関係は、わが国の安全保障の基本だ。同盟関係の強化について、大統領と話し合いたい」と、日米同盟の重要性を重ねて強調した。
首相は昨年十月、北朝鮮が核実験実施を発表した際、訪問先の韓国で、いち早くブッシュ大統領と電話で会談。十一月にはベトナムでの国際会議を利用し、大統領との初の首脳会談に臨んだ。会談は昼食を共にしながら約一時間半に及び、親密ぶりをアピールした。
首相は就任前から、日米関係を「外交の要」と表明してきたため、国際会議を除く最初の外国訪問先は米国との見方が多かったが、最初に中韓両国、二回目は欧州を歴訪。訪米を三回目としたところに、日米関係への首相の自信がうかがえる。
ただ、米国内では、従軍慰安婦をめぐる首相発言に批判が広がり、ブッシュ大統領に訪米を伝えた今月三日の電話会談でも、わざわざ首相から真意を説明したほどだ。
北朝鮮の核問題でも、米国は対北朝鮮の金融制裁を解くなど柔軟路線に転換。強硬姿勢を堅持する安倍政権との温度差が広がりつつあり、日米協調をどこまで維持できるのか、首相にはその成果が問われている。 (原田悟)
自民党有志の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文科相)は、従軍慰安婦問題で安倍首相の謝罪を求める米下院決議案の採択を前に、同会の中山泰秀小委員長らを米国に派遣することを決めた。決議案に賛成しないよう、議員らに働きかける。
同会は、河野官房長官談話の見直しを求めて活動してきた。26日からの首相の訪米への影響を避けるため、メンバーはその後に米国を訪れる見通しだ。
「慰安婦」問題 歴史事実率直に認めよ 韓国・前ソウル市長も批判(しんぶん赤旗,4月6日)
「安倍首相は歴史の事実を率直に認めよ」。安倍晋三首相がブッシュ米大統領との電話会談(三日)で「慰安婦」問題について「釈明」した翌日、韓国の李明博・前ソウル市長は、こう述べました。韓国メディアも安倍首相の「釈明」を批判的に報道。韓国世論の対日批判は弱まる気配を見せません。
李前市長は、野党ハンナラ党の大統領選有力候補です。四日、忠清南道の顕忠祠を訪れた李氏は、「歴史問題には真剣さが必要で、行動で示さねばならない。日本は状況に応じて、その時々で変えるので、当事国からは尊敬を受けられない」と語りました。
メディアの報道も安倍首相の「おわび」に懐疑的です。SBSテレビは四日、「安倍首相が月末に米国を訪問するので、事前にこの問題を鎮火しようとした」と報道。同テレビの東京特派員は「米国訪問を前にして、米国内世論が悪化していることに対する苦肉の策」と伝えました。
東亜日報五日付は「安倍首相の目にはブッシュ大統領だけ見えるのか」と題する社説を掲載。「米国内の反日世論を好転させようというジェスチャー」だが、「安倍首相は相手を間違えた。ブッシュ大統領ではなく、当事者の韓国国民と慰安婦被害者に直接、釈明すべきだった」と述べました。
インターネット紙プレシアンは四日、安倍氏の「おわび」について、「米議会が『慰安婦決議案』を推進している状況で、先に姿勢を低くして、米議会の推進力を弱めるため」だと指摘。「河野談話を継承する」という説明は、強制動員を否定した発言と「完全に相反する」とした上で、「この問題に明確な言及がないと安倍首相の(おわびの)真意は確認できない」と述べました。
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