世界銀行の「東アジア大洋州地域半期経済報告書」が,多少の減速とはいえ,東アジアの引き続き高い経済成長を予測している。
他方で「中所得国のわな」に陥らないための改革を求めているが,問題はその改革の中身である。
米韓FTAにも表れたように,アメリカの東アジア重視はますます強まってくる。それが大国主導となるか,それとも東アジア各国の意向が尊重されるか,そこが問題。
東アジア新興経済国の07年成長率は7.3%に減速=世界銀行(朝日新聞,4月5日)
[東京 5日 ロイター] 世界銀行は5日、東アジアの新興経済国の2007年の経済成長率が米中経済の減速見通しなどを背景に06年の8.1%から減速し、7.3%になる可能性が高いとする報告書を発表した。08年はさらに小幅減速し、7.0%になると見込んでいるが、引き続き高水準の成長を維持するとみている。
世界銀行が発表した「東アジア大洋州地域半期経済報告書」は、1997年の金融危機で深刻な打撃を受けた東アジア地域について、「金融危機を克服した後、堅調な成長を回復した」(世界銀行東アジア大洋州地域担当リード・エコノミストのミラン・ブランバット氏)と評価している。
中国、インドネシア、香港、韓国など東アジアの新興経済国の成長率は、06年に過去10年間で最高の8.1%となった。米中経済の減速見通しなどを背景に07年は7.3%、08年は7.0%に減速する見通しだが、引き続き高水準の成長率を維持すると見込んでいる。このうち中国経済は06年の10.7%から07年に9.6%、08年に8.7%に減速すると予想している。
ただ、報告書では、適切な対応をとらなければ成長を減速させるか、あるいは妨害しかねない新たな課題が浮上しつつあると警告。低所得国から中所得国に移行する際に有効だった戦略では高所得国には移行できないとし、「中所得国のわな」に陥らないことが必要、と指摘している。
具体的には、中国の場合、「過去20年間の極めて急激な成長に伴って発生した深刻な環境問題などの圧力や、アンバランスに取り組むための新たな戦略が必要」との見解を示した。
また、金融危機以降、各国はさらなる危機に対する備えとして膨大な外貨準備を積み増してきたが、「そのことは、景気過熱や資産価格バブルといった好ましくない副次的影響をもたらしかねない」と警鐘を鳴らしている。
その上で報告書は、東アジア諸国が改革プログラムをさらに推進する必要があるとし、特にガバナンスと投資環境の改善、多様な資本市場の構築、サービス貿易の自由化、教育制度の改善、慎重なマクロ経済政策の重視などを求めている。
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