政府の5月月例経済報告は、景気回復が64ケ月連続で行われているとの判断を行った。
つまり5年以上もの連続回復。
大企業の利益の他に、その5年に経済のいったい何が回復したといえるか。
「ワーキングプア」が日常語になったのは昨年のことである。
国民生活の実態を、まったく判断基準の外においた景気判断というしかない。
景気は「生産の一部に弱さみられるものの回復」=5月月例報告(朝日新聞、5月22日)
[東京 22日 ロイター] 政府は5月月例経済報告で「景気は、生産の一部に弱さがみられるものの回復している」とし、基調判断を6カ月連続で据え置いた。足元弱い指標が続く設備投資動向を含め、各論すべての判断を据え置いた。一方、米国経済の判断を1─3月期GDP(国内総生産)成長率の減速を受けて下方修正。国内企業物価は文言を「横ばい」から「素材価格の上昇によりこのところ上昇している」に変えた。
これにより景気拡大期間は64カ月目となり、月例経済報告ベースでは戦後最長記録の更新を続けている。ただ基調判断は2006年11月に下方修正された後、6カ月連続で据え置かれ、景気回復の強さは昨年秋の時点まで戻っていない。
先行き判断と留意事項も変更はなく、「企業部門の好調さが持続し、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある」とした。
各論のうち、設備投資判断は「増加している」を維持した。4─6月期機械受注見通しや17日に発表された1─3月期GDPでの民間設備投資など、弱い経済指標が続いている。しかし、足元の判断材料として公表されている供給側統計だけでは不十分で、需要側統計の法人企業統計季報(6月4日発表予定)をみなければ判断がつかないことや、日銀短観では2007年度設備投資計画が当初計画としては高めに出ていることから、内閣府では「現時点で、設備投資が4─6月期から下振れすると想定する必要はない」(内閣府幹部)と判断した。
個人消費は「持ち直しの動き」との判断を据え置いた。需要側統計と供給側統計を合成した消費総合指数は、3月単月では前月に比べて若干減少したが、1─3月期に均すと前期比プラス1.0%と強さを維持。17日発表の1─3月期個人消費も堅調さが確認された。しかし、実質雇用者所得が横ばいで推移するなど、賃金が伸び悩んでいる環境に変化がなく、判断を据え置いた。
先行きについても「雇用情勢が改善していることから、所得の伸びが改善すれば、個人消費は増加していくものと期待される」と、4月の表現を踏襲した。
生産は「このところ横ばいとなっている」で据え置いた。電子デバイスなど情報関連生産財の在庫調整が下押し圧力となっている状況には変化がないとみている。生産予測指数は4月、5月とも高めで、内閣府では予測値の実現を疑問視しており、4月以降の生産の回復度合いを注視している。
物価面では、国内企業物価を、4月までの「横ばい」から「素材価格の上昇によりこのところ上昇している」に文言を変え、商品市況の影響を素直に表現した。
一方、消費者物価は「横ばい」で据え置き。内閣府が重視する石油製品・その他特殊要因を除く消費者物価の前年比は、3月にマイナス幅が拡大したが、「ゼロ近辺で推移している」とし、先行きについて「海外経済の動向などが今後の物価動向に与える影響については注視していく必要がある」とするこれまでの見方を維持した。内閣府では「消費者物価に上昇の気配はみられず、4月も状況に変化はないだろう」(内閣府幹部)とみている。
米国経済については4月までの「景気は緩やかに拡大している」から「住宅建設の減少等より、景気は減速している」に下方修正した。下方修正は2006年11月以来。
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