ASEAN憲章の策定、非核の世界づくり、TACへのEU加入の検討、北朝鮮の核問題と、ASEAN外相会議は、盛りだくさんの内容である。
ASEAN外相会議が開幕 ミャンマー問題など討議(東京新聞、7月30日)
【マニラ30日共同】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が30日、マニラで開幕した。民主化の遅れで国際的に非難されるミャンマー問題や最高規範となるASEAN憲章の草案などを討議、同日夕に共同声明を採択する見通し。
議長国フィリピンのアロヨ大統領は冒頭の演説で「ASEANは地域の平和と発展をけん引してきた。起草中の憲章でASEANはさらに強化される」と述べ、今年8月に創設40周年を迎えるASEANの一層の統合と繁栄の実現を訴えた。
東南アジア非核地帯条約を将来履行するための行動計画や、ASEAN域内からの出稼ぎ労働者保護などの問題も議題となる予定。
31日のASEANプラス3(日中韓)外相会議や8月2日のASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議には麻生太郎外相が出席する予定。
共同体の草案 焦点に ASEAN外相会議きょうから 気候変動・温暖化も議題(しんぶん赤旗、7月29日)
【マニラ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)は二十九日から当地で四十回目となる外相会議を開きます。一九六七年に発足したASEANの四十年と、二〇一五年に実現をめざすASEAN共同体に向けた取り組みを評価します。ASEANは共同体の最高規範となる「ASEAN憲章」の草案づくりを進めており、十一月の首脳会議での採択を目指しての協議が一つの焦点となります。
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会議では、気候変動・温暖化問題も、海面上昇・陸地消失や災害の原因となる脅威として、議題になる見通し。新憲法制定に向け国民会議を再開したミャンマー軍事政権が各国に対して民主化をどう説明するかも注目されます。
シンガポールのジョージ・ヨー外相は十九日、地元テレビに対し、憲章の草案づくりは「いくつか解決しなければならない問題があるが、いい前進を得ている」と今年末の採択に自信を示しました。気候変動が地域に影響するとの見方も示しました。
ことし一月の首脳会議は、憲法起草で賢人グループが打ち出した不干渉政策の修正、安全保障など重要分野を除く問題での採決制度の導入、憲章違反への権利停止措置の導入などの指針案を承認しました。ただ各国関係者は、全会一致制と内政不干渉原則の大幅な変更を否定しています。
草案は外相会議を前に高級作業部会で協議され、二十七日に会見したフィリピン外務省スポークスマンは、同部会でフィリピンが憲章に人権についての規定を盛り込むよう主張したものの、各国間で意見の違いがあったことを明らかにしました。
このほか、各国外相はエネルギー安全保障、移住労働者の権利保護、災害対策、鳥インフルエンザ対策などを協議します。
地域の安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議も二日から開かれ、北朝鮮の朴宜春外相が初めて参加します。朝鮮半島非核化や核不拡散を焦点に、北朝鮮の核施設の稼働停止と六カ国協議の継続を歓迎する声明を出す予定です。
東南アジア非核地帯条約 強化へ行動計画 保有国に署名働きかけ ASEAN(しんぶん赤旗、7月29日)
【マニラ=豊田栄光】東南アジア非核地帯条約締約国である東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国は二十八日、マニラで非核地帯条約執行委員会を開催し、条約を強化するための行動計画を承認しました。計画は三十日のASEAN外相会議に提出されます。
執行委員長を務めたASEAN議長国フィリピンのロムロ外相は、行動計画の主たる目的は、核兵器保有国に非核地帯条約の意義を確信させることにあると表明。米英仏中ロだけでなくインドとパキスタンにも署名を働きかけると述べました。
ASEAN外交筋によると、行動計画の主な目的は(1)核兵器製造を意図する国がないことを保証し、非核のASEANをアピールする(2)その結果として国際世論を盛り上げ、条約加入を拒否する核保有国に署名させる―の二点だといいます。
東南アジア非核地帯条約は一九九五年に署名、九七年に発効。同条約の執行委員会が開催されたのは今回が初めてで、「発効から十年にあたり非核の世界へ向けて、新たな取り組みが必要」(ロムロ外相)との考えが背景にあります。
二十八日夕の時点で行動計画の正式発表はありませんが、本紙が入手した計画案によると、今年から行動計画を具体化し二〇一二年までの五年間実施するとしています。
具体的措置としては、国際原子力機関(IAEA)による原子力施設への厳しい査察を可能にするIAEA追加議定書に加入し、IAEAや対話国(日米中ロなど)との協力関係を発展させる、などとしています。
計画案は、核保有国の「同時加入へ向けた努力を継続する」とする一方で、加入に至らない段階でも、核保有国から「非核地帯条約に反する行動をとらないとの一方的、集団的宣言を確保する」という新しい手法を認めています。
核保有国のうち中国が条約への加入意思を表明していますが、一部の国は艦船の寄港、通過の禁止を理由に拒否しています。ASEAN内部でも考え方はさまざまで、計画案では「可能な限り早期にASEANの意見一致がなるよう作業を続ける」としています。「米艦船の修理を行っているシンガポールが厳格な定義に反対している」(会議筋)といいます。
EUのTAC加入検討 ASEAN 拡大外相会議議題に(しんぶん赤旗、7月30日)
【マニラ=豊田栄光】八月一日に開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大外相会議で、欧州連合(EU)の東南アジア友好協力条約(TAC)への加入が議題となることが二十九日わかりました。
TACは一九七六年に生まれた条約で、紛争の平和的解決、武力行使・威嚇の禁止などを定めています。九八年に東南アジア域外の国にも開放、加入を促しています。ASEAN十カ国のほかに、日中韓印ロなど二十二カ国がメンバーです。
ASEAN側は「EUのTAC加入は、ASEANが追求する地域の平和と安定にEUが確固とした関与を行うことになる」と議題となることを歓迎しています。
EUは共通外交政策を追求し、拡大外相会議にはソラナ外交・安全保障上級代表が参加します。EU加盟国ではフランスが独自にTACに加入しています。
一方、バングラデシュとスリランカは八月一日にTACに署名します。
東南アジア非核地帯条約 初の閣僚委で計画採択(しんぶん赤旗、7月30日)
【マニラ=豊田栄光】東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟十カ国が締約国の東南アジア非核地帯条約に関する初の閣僚委員会が二十九日、マニラで開催されました。
同委員会では「新たな核兵器競争の出現」に懸念が表明され、非核条約の実効性を高めるために、今後十年間の「行動計画」を採択しました。閣僚委員会は前日の高官レベルによる執行委員会に続くものです。
議長国フィリピンのロムロ外相は、(1)核兵器の運搬手段となるミサイル関連品の取引が増えている現状(2)核不拡散条約(NPT)体制下でインドなど新たな核保有国が生まれたこと(3)非国家組織による核物質入手の危険の高まり―などに懸念を表明。こうした情勢下では「核兵器と核拡散から地域を守るために、非核条約を発展させなければならない」と訴えました。
「行動計画」には、原子力施設への国際原子力機関(IAEA)の査察を強化するIAEA追加議定書や、包括的核実験禁止条約(CTBT)への批准を締約国が促進することなどが盛り込まれています。
6カ国対話の場提供 ASEAN外相会議 比が「北」に意向(しんぶん赤旗、7月30日)
【マニラ=井上歩】東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に出席するため二十八日夜マニラ入りした北朝鮮の朴宜春外相は二十九日、ARF議長国フィリピンのロムロ外相と会談しました。ロムロ外相が朝鮮半島の非核化を繰り返し求めたのに対し、朴外相は六カ国協議の継続と成功に前向きな姿勢を示しました。
フィリピン外務省の発表によると、ロムロ外相は「安定と安全は地域に不可欠のもので、六カ国協議が平和的解決に至るよう援助を広げる用意がある」とのべ、マニラで同日から開かれるASEAN外相会議にあわせ、六カ国協議参加国が高級レベルで対話を行う場を提供したいとの意向を伝えました。
両国外相は同日、両国関係などについて定期的に協議するフォーラムを設置する合意文書にも調印しました。
朴外相は二十八日のマニラ到着にあたり「今回の訪問が良い結果をもたらすと確信している」との声明を発表しました。同外相は五月の就任後初めての国際会議出席となります。
ARFでは、北朝鮮の核施設の稼働停止と六カ国協議再開を歓迎する議長声明が出される見通しです。
米国は、ライス国務長官が中東訪問を理由にARFを欠席するため、ネグロポンテ国務副長官が出席する予定です。
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