アメリカのポールソン財務長官が中国を訪れている。
アメリカ議会には貿易赤字削減を人民元改革に求める議論が強い。
しかし、中国からアメリカへの「輸出」の半分程度は、アメリカ企業による企業内国際分業だとの指摘もある。
実際、アメリカ企業の反応には、中小企業と「国際分業」を活用している大企業とでかなりの温度差があるともいう。
あわせて元高は対中投資の壁を高くもする。
中国政府に対するポールソン氏の柔軟な対応には、アメリカ大企業の意向が強く反映していると見て良いのだろう。
米投資ファンド、中国・藍星集団へ資本参加交渉(化学工業日報、7月30日)
米投資ファンドのブラックストーングループが、中国・藍星集団公司への資本参加に向けて交渉を進めていることが分かった。ブラックストーンが最大4億ドルを出資し、藍星集団の株式の20~40%を取得する方向で調整しているもよう。藍星集団は、ポリアセタール(POM)や有機ケイ素、ビスフェノールA(BPA)など、傘下に30もの企業を抱える中国の大手化学グループ。ブラックストーンはセラニーズを傘下に収めて酢酸や誘導品のアセチルチェーンなどを強化した実績がある。藍星集団の株式取得については政府の認可取得など実現に向けて課題はあるものの、海外の投資グループが本格的に中国企業をターゲットにし始めた動きといえる。(上海支局)
米財務長官、訪中開始=人民元改革、最優先課題に(時事通信、7月30日)
【北京30日AFP=時事】ポールソン米財務長官(写真)は29日、中国に到着した。同長官は中国当局者に対し、経済面や環境面での改革の加速を促すとみられている。米外交筋にようと、長官は30日の北京入りに先立って、まず西部青海省にある同国最大の塩水湖、青海湖を訪れ、砂漠化や生態系の破壊が進む状況を視察する。
ポールソン長官は北京で中国政府当局者と会談し、昨年からスタートした両国の経済問題について話し合う「米中戦略経済対話」について協議する。戦略経済対話では広範な経済、環境問題が取り上げられるが、その中でも人民元改革が最優先課題となっている。米議員の間では、人民元は著しく過小評価されているとの見方が強い。米議会には、中国が不公正な通商政策をとっているとして、同国に対する制裁を目指す動きもある。
米上院財政委員会は26日、財務省に対し実勢とかけ離れた通貨を持つ国を特定するよう求める為替法案を圧倒的多数で可決した。中国を名指しはしていないものの、同国に対する経済制裁に道を開く可能性を持つ法案と言える。ポールソン長官は27日、議員たちは中国に制裁の脅しをかけ、誤ったメッセージを送っていると指摘。さらに「われわれは中国に対し、一層の柔軟性を示すよう望んでいるのだ」と語った。 〔AFP=時事〕
米財務長官、30日から訪中対話継続を確認・強硬派と一線(日経新聞、7月30日)
【ワシントン=藤井一明】ポールソン米財務長官が30日から3日間、中国を訪れる。貿易赤字の拡大や食の安全を巡り中国への批判が強まる米国の状況について胡錦濤国家主席ら中国の指導部に説明。人民元改革、知的財産権の保護などの懸案で早期の取り組みを促す。ブッシュ政権の対話路線を鮮明にして、議会内の対中強硬派と一線を画す狙いもある。
「改革の道をたどっているのは確かだ。対話を通じてスピードを上げるよう促す」。ポールソン長官は27日の米CNBCテレビに出演し、中国の問題は改革の速度にあると指摘した。財務省は報復措置をかざして圧力をかけるよりも、粘り強い対話を基本にする。他国からの口出しを嫌う中国を硬化させれば、かえって解決に時間がかかるとみているためだ。
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