イラク増派を主張するブッシュ大統領の共和党内で、次の大統領候補の足並みが乱れている。
力の政策の限界を感じながらも、それを手放すこと、あるいはそれにとってかわる外交政策を打ち出すことができない。
変化する世界構造に対する認識の遅れは、ここでも重大である。
イラク政策、増派を基本的に支持・共和党の大統領候補(日経新聞、8月6日)
【ワシントン=小竹洋之】米共和党は5日、次期大統領選挙の候補者9人による討論会をアイオワ州で開いた。最大の争点であるイラク戦争を巡っては、ジュリアーニ前ニューヨーク市長やロムニー前マサチューセッツ州知事が、米軍の増派を基本的に支持する意向を表明した。マケイン上院議員は、米軍の撤退期限を明示すべきではないとも述べた。
ジュリアーニ氏は具体論に踏み込むのを避けながらも「軟弱な融和政策では平和を達成できない」と指摘。イラク戦争を「テロリストによる対米戦争の一部」と表現し、戦争の遂行と勝利が米国内の安全につながると述べた。
ジュリアーニ氏は国際テロ組織アルカイダの掃討を目指し、米国がパキスタンで軍事行動を展開する選択肢もあり得るとの認識を示した。
テロ対策など足並みに乱れ…米大統領選・共和党討論会(読売新聞、8月6日)
【ワシントン=貞広貴志】米大統領選で共和党の候補9人によるABCテレビ主催の討論会が5日、アイオワ州デモインで開かれ、テロ対策やイラク戦争への対応について論議を交わした。
討論では、民主党から立候補しているオバマ上院議員が先に、テロ掃滅のため「米国が単独でパキスタン領内で軍事作戦を行うことも辞さない」との方針を打ち出したことへの評価が争点となり、主要候補ではロムニー前マサチューセッツ州知事とマケイン上院議員が批判に回ったのに対し、ジュリアーニ前ニューヨーク市長は理解を示した。
このうちマケイン氏は、「我々の攻撃が引き金をひく形で、過激なイスラム政権ができたらどうするのか」と述べ、影響を十分考慮せず軍事攻撃に踏み切る危険性を指摘した。
これに対し、テロへの強硬な態度を看板にすえるジュリアーニ氏は、「(国際テロ組織)アル・カーイダや(アフガニスタンの旧支配勢力)タリバンを撃破する別の方法がない場合、行動を起こす」と言明し、共和党内での足並みの乱れが露呈した。
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