ブッシュ大統領の国連演説がらみで2題。
1つは、自分の国の人権侵害に口をつぐみながら、他国をいくつも「残虐な政権」などと名指ししたこと。
2つは、その演説原稿に、発音の間違いをしないための発音記号がついていたというもの。
これは、日本語でいえば、漢字にふりがなということである。
この人の実権というのは、本当のところ、いったいどれほどのものなのだろう。
米大統領演説に批判続出 国連総会一般討論 人権問題利用に警鐘(しんぶん赤旗、9月27日)
【ニューヨーク=鎌塚由美】二十四日始まった国連総会の一般討論演説で、米国のブッシュ大統領は、人権状況などを理由に一部の国を名指しで非難しました。これに対し、米国がイラク侵略など自らの人権侵害に口をつぐんでいることや、単独行動主義を批判する声が各国首脳から上がりました。
ブッシュ大統領は、演説のなかでミャンマーの軍政を批判しながら、米国として軍政当局への経済制裁の強化策を打ち出したことをあげました。さらに、関係者へのビザ発給の停止拡大も予定しているとし、国連および各国に「自由を求めるミャンマーの人々を支援する外交、経済的なてこ入れを」と表明しました。
ブッシュ大統領が今年の演説テーマに選んだのは、人権問題。国連の任務は「専制政治と暴力から人々を解放」することだと述べ、現在も「独裁者のもとで苦しんでいる人々のために、文明諸国は立ち上がる責任がある」などと主張しました。
ベラルーシ、北朝鮮、シリア、イランを名指しして、「(これらの)残虐な政権は国民の基本的権利を否定している」と批判しました。
キューバ、ジンバブエ、スーダンも批判し、キューバでは「冷酷な独裁者の長い支配は終わりに近づいている」などと発言しました。キューバの代表は、この発言を受け総会場から退席しました。
このブッシュ演説に対して各国代表が批判を込めて演説しました。
ニカラグアのオルテガ大統領は「キューバへの尊敬を完全に欠くものだ」と指摘。イラク戦争については米国の「ウソのキャンペーンで侵略」したことを厳しく批判しました。
国連人権理事会の創設メンバーとして発言したスリランカのラジャパクサ大統領は、一部の国を批判するために人権問題が「政治的利用の道具」にされることに警鐘を鳴らしました。「国際人権基準を守るよう法的順守を促す国際行動では、公正であることが肝要だ」と強調しました。
アンゴラのドスサントス大統領は、米国の対キューバ制裁措置の解除を求める決議案が国連総会で毎年、多数で支持されていることに言及。キューバへの「経済、貿易、金融禁止措置」の終結は「必須だ」と指摘。キューバ制裁に固執する米国の姿勢は「国際法と国連憲章の原則を侵している」と述べました。
米大統領の“カンニング”バレた(デイリースポーツ、9月26日)
ブッシュ米大統領が25日行った国連総会演説の草稿に、“発音記号”が添えられていたことが発覚した。国連が誤ってウェブサイトに草稿を一時掲載してしまったことで判明。同大統領は、難しい発音や語句が苦手とされ、度重なる言い間違えは“ブッシズム”との造語まで生んだ。最近では出席した「APEC(アジア太平洋協力会議)」を「OPEC(石油輸出機構)」とやり、全世界から失笑を買ったばかりだった。
草稿は、発音しづらい固有名詞に、アルファベットで発音を表記。キルギス、モーリタニア、カラカス(ベネズエラの首都)、といった国名や地名のほか、8月に米国で会談したばかりの「サルコジ(フランス大統領)」にまで「sar-KO-zee」と、“発音記号”が付されていた。
ペリーノ大統領報道官は、“発音記号”の併記について「特異なことではない。多くの演説でやっている」と弁明。「こういった名前を発音するのは、大統領には難しいのでは」と問う記者団に「無礼な質問だ!」と強い不快感を示した。
演説草稿には、ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんになぜか“発音記号”が付いておらず、大統領は「アウン・スン…」と言い、あわてて言い直すピンチもあった。
大統領は今月、APEC出席のために訪問していたシドニーで、演説中「アウン・スン・サー・チー」さんと発音。さらに開催国オーストラリアのハワード首相に向け「素晴らしいOPEC首脳会議を開催していただき、ありがとう」「(イラクでの)オーストリア軍の駐留に感謝する」と、とんでもない発言を連発していた。
同大統領は国連総会での演説で、北朝鮮、イラン、シリア、ベラルーシを名指しし「残忍な政治体制」と非難。さらに連日僧侶らのデモ行進が続くミャンマーについて、国際社会に民主化運動への支援を訴えかけた。だが、その説得力は、国連の大失態で「?」となってしまった。
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