元高が進行しているようだが、それは貿易赤字の大幅削減にはつながらないというのがアメリカ財務省の判断である。
また、ポールソン長官も、マコーミック次官も、懲罰的な元高を求める議会の動きは抑制するとの方向で一致している。
むしろ、元高には内需依存を高めることで、中国市場自体の成長を望むというのが基本の姿勢であるらしい。
中国が人民元高容認すれば国内成長に寄与=米財務次官(朝日新聞、9月20日)
【ワシントン 19日 ロイター】 マコーミック米財務次官(国際問題担当)は19日、中国人民元の為替相場について、一段と柔軟なものになっても中国の経済成長は抑制されず、デフレを引き起こすこともなく、むしろ中国経済の方向性を国内消費に向けさせる上で有益だとの認識を示した。
また、中国が人民元の上昇を容認すれば、米中関係で「認識されている大きな不公平要因が取り除かれる」と指摘した。
次官は20日に北京で行う予定の演説原稿の中で「米国にとっては、人民元が上昇したとしても、米国の貿易赤字が大幅に削減されることはなく、米企業が直面している海外市場での競争という問題解決の特効薬にもならない」と述べた。
人民元相場がさらに柔軟なものになれば、中国の輸入物価が低下し、中国企業にとっては輸出製品から国内向け製品に転換するインセンティブが働くと指摘した。
次官は「こうすることにより、これまでの成長モデルに比べより安定的で内需中心の効率的な成長が達成され、中国国民の生活水準が向上する」と述べた。
米議会では人民元制度について中国に引き上げ圧力をかける法制化の動きが出ているが、ポールソン財務長官は先週、米国の懲罰的な対中国通商法案は貿易紛争を引き起こす可能性があると指摘していた。
マコーミック次官も、保護主義の台頭には警戒感を示した。
<中国労働者にも利点>
次官によると、中国消費者の貯蓄率は高く、資本は低金利の金融商品に流れ、企業はこれらの潤沢な資本を低金利で調達し、輸出製品をを製造している。その結果、労働を資本と代替するインセンティブが働き、雇用の伸びは抑制され、労働者は経済成長の恩恵の分け前が一段と少なくなってきているという。
次官は「より急速な人民元の上昇は、一部セクターの低所得労働者を脅かすと懸念する指摘が中国で多いことは承知している。しかし、それほど資本集約型でない国内指向産業での雇用を促進することにより、人民元の上昇は未熟練労働者にとって新たな機会を創出することになる」と述べた。
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