こういうことが、正面からの議論のテーマになること自体、東アジアにおけるアメリカの影響力低下の証なのだろう。
米国の東アジア外交は成功か、失敗か(朝鮮日報、10月26日)
米国の東アジア外交は失敗なのか成功なのか。
米国の外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』最新号(11・12月号)には、この問いに対する正反対の立場が並んで掲載されている。ジェイソン・T・シャプレン前KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)政策顧問とジェイムス・レイニー前駐韓米国大使は、米国が時代錯誤的な「二国間同盟」にのみ力を注いでいる間に、急浮上した中国の全方位的外交に操られるようになったとの持論を展開した。一方ホワイトハウス国家安保会議(NSC)の前補佐官であるビクター・チャ氏は、ブッシュ政権による外交政策の成功で、アジアにおける米国の地位が過去のどの時点よりも強まったと主張している。
◆シャプレン、レイニー「米国は没落した太陽」
米国が過去60年間、アジアで握ってきた経済的主導権が中国に移りつつある。今年の中国と日本の交易量は米国と日本の交易量を越えた。韓中の交易量もすでに3年前に韓米の交易量を超え、米国の声は徐々に小さくなりつつある。以前のように米国が韓国に対して自国の意向を実行に移させるために、経済的圧力をちらつかせれば済んだ時代は過ぎ去った。
逆に中国などのアジア諸国が米国経済の首根っこをつかんでいる。米国の国債発行規模が増加すればするほど、債権者であるアジア諸国の立場が強くなる。中国と日本が保有する米国国債を合わせると、過去に米国が発行したおよそ2兆2000億ドル(約251兆円)に上る国債総額の47%に達する。中国が国債の購入を中断すれば、米国経済が直撃弾を受けるような状況にある。
米国がもたついている間に中国は二国間・多国間外交を使い分け、全方位的な外交で隙間をかき分けながら世界の主役に浮上してきた。しかし米国は第2次世界大戦以来の韓米同盟、日米同盟などの二国間外交にばかり執着してきた。このような外交では中国のダイナミックな外交に対抗することはできない。
◆ビクター・チャ「米国のアジア外交は成功している」
アジアに最も影響力を持つ国になるには、経済力と共に安全保障の能力が必要だ。世界で双方を兼ね備えた国は米国だけだ。2004年にインド洋で津波が発生した際、米国は素早い対応と果敢な支援で被害を抑えるのに貢献したが、中国の対応は遅く支援も微々たるものだった。
アジアで米国が中国と影響力争いを演じているというのは誤解だ。逆に米国は実用的な対話を通じて中国を「責任ある利害当事者」として引き入れようとしている。2005年から両国高官同士の外交が活発になり、昨年は北朝鮮の核実験に対して制裁と6カ国協議での合意に至る過程などで中国は米国に積極的に協力した。
日米関係も同様で、歴史上最も確固たるものとなり、一般の心配をよそに韓米関係も良い方向に向かっている。韓米FTA(自由貿易協定)が妥結に至り、韓国はイラクやアフガニスタンで米国への支援活動を継続している。
このようにブッシュ政権はアジア外交を新しく構築した。さらに米国は今後、▲東南アジア問題に深く介入し、▲北東アジアの安保体制を構築し、▲二国間・三国間・多国間での意思疎通の経路をフルに稼動させるだろう。
李竜洙(イ・ヨンス)記者
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