明石市および周辺地域の中核病院である明石市民病院の産婦人科が、入院と出産の受付を休止する。
背景に医療費抑制に向けた失政があることはすでに様々に指摘されていること。
そうした政治から「住民の福祉」を守ることができるかどうかが、今日の自治体に問われる大きな役割なのだが。
兵庫・明石市民病院産婦人科 入院と出産業務休止へ 常勤医減で来年6月から(読売新聞、11月17日)
兵庫県明石市立市民病院(佐々木享院長、398床)は16日、常勤の産婦人科医が3人から2人に減るため、来年6月から入院と出産業務を休止すると発表した。すでに予約を受けている患者については対応するが、新規の患者の受け入れはしない。同病院は診療体制の見直しも検討しており、「県医師会や大学への要請などを通じて、早期に再開できるよう努めたい」としている。
2008年6月から分娩の受け入れ休止が決まった明石市立市民病院(明石市鷹匠町で) 同病院によると、2005年4月に常勤の産婦人科医が4人から3人に減少した。06年にはさらに2人が退職したため、京都府立医科大(京都市)などから2人の派遣を受け、3日に1回の泊まり勤務をするなどして急場をしのいでいた。
しかし、うち1人が08年5月末で契約が切れ、新たな医師も見つかっていないことから、「常勤医2人では24時間体制で取り組むお産に対応できない」と判断、休診を決めた。
昨年の明石市への出生届2779件に対し、同病院で扱った出産の数は441件。市内の分娩(ぶんべん)可能な病院はほかに6病院あるが、市民病院は中核病院としての機能を果たしており、今後、リスクの高い患者は、県立こども病院(神戸市)や加古川市民病院へ搬送されることになる。
また、常勤医が2人になることで、通常業務への負担も増えることから、同病院は「新たな医師が確保できない場合、産婦人科を婦人科だけにするなど、診療体制を見直す必要もある。年明けには対応を決めたい」としている。
兵庫県内の産科医療を巡っては、医師不足などを理由に西宮市立中央病院や高砂市民病院、小野市民病院などが産科を休診している。
08年に出産の受け入れ休止 明石市立市民病院(神戸新聞、11月17日)
明石市立市民病院(明石市鷹匠町、佐々木享(すすむ)院長)は十六日、来春以降に産科医を確保できる見通しが立たないとして、来年六月から出産の受け入れを休止すると発表した。県内の公立病院では但馬や北西播地域などのほか、昨春から西宮市立中央病院が産科を休診中。産科医不足の影響が都市部でも広がり始めた格好だ。
同病院事務局によると、現在三人いる産婦人科常勤医のうち、一人が医院を開業するため来年五月末で退職を予定。退職する医師は、開業までの期限付き採用だったため、同病院はこれまで複数の大学医局に医師派遣を要請したり、公募したりしたが、後任医師のめどが立たなかった。残る医師二人では当直体制が組めず、休止を決めた。
六月以降の出産予約は受け付けないが、すでに予約を受けた五月までの出産は取り扱う。
同病院は、合併症などが生じた妊婦を二十四時間体制で受け入れ、神戸市西区や淡路島などからの利用もある地域の中核病院。今後、リスクの高い妊婦は、県立こども病院(神戸市須磨区)や加古川市民病院などに受け入れてもらうという。
同事務局では「これからも医師を探し、早急に分娩(ぶんべん)を再開したい」とする一方、市内産婦人科医院との連携強化や、助産師の活用による分娩再開の可能性も検討するという。(永田憲亮)
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