企業誘致は拡大しても、地域への経済効果は限定的。
日銀神戸支店の調査である。
雇用でも、地元企業との取り引きでも波及効果は小さいという。
兵庫への企業進出「地元波及は限定的」 日銀支店調査(神戸新聞、11月26日)
日銀神戸支店は二十五日までに、高水準が続く兵庫県の企業進出について「地域経済への波及効果は限定的」とする調査リポートをまとめた。近隣から移転する形で進出した企業が多く、大手メーカーが工場を建設しても、現地にある企業と新たに取引を始めるケースは少ないという。
リポートでは、大手企業の積極的な設備投資を背景に、工場や倉庫の建築着工床面積が二〇〇四年から拡大し、工場立地件数が〇六年に全国トップになった各種統計を列挙。要因として、(1)市街地での工場新設を認めない工場等制限法が〇二年に廃止(2)県、神戸市が企業誘致を促す支援制度を用意(3)大阪に近く、工場団地、道路、空港、港湾が整備されている-ことなどを挙げた。
特徴では、工場団地への立地割合が〇四年の38・2%から〇六年には65・2%に拡大したことから「大手企業の増産対応で、まとまった土地を求めて進出するケースが多い」と分析。大阪府内からの進出も〇六年(三十件)は前年の約三倍にアップした。大阪は近隣の宅地化で拡張の余地が乏しいとみられ、「兵庫の相対的な地価の割安感が評価された」という。
ただ、地域への経済効果については限定的と指摘。近隣から移転した中堅・中小企業が多い上、物流拠点の場合は雇用創出が少ない-ともした。
同支店は「大手メーカーが工場進出したケースでも地元以外の既存企業と取引する例が多い」としている。(大久保 斉)
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