国は医療・社会保障・教育など、国民生活を支える仕事には金をつかいたくないわけだが、長期入院の療養病床を減らしてしまえというのも、その一環。
兵庫県も、これにしたがって、県内1/3の病床を他に「転換」する計画を立てたという。
大企業誘致の補助金は、全国唯一無制限だが、長期入院の高齢者には金をつかいたくはない。
これが兵庫県政の姿勢ということである。
県、療養病床33%削減へ 11年度末 老健などに転換(神戸新聞、11月10日)
慢性疾患の高齢者らが長期入院する療養病床を国が大幅削減するのに伴い、兵庫県は、二〇一一年度末までに県内の療養病床約一万四千床の三分の一に当たる約四千六百床を削減、老人保健施設などへの転換対象とする目標値を九日までにまとめた。(溝田幸弘)
療養病床の削減後をにらんだ地域ケア体制の整備構想を検討する委員会に、同構想の素案と併せて提示した。今後、一般からの意見を募り、国や関連する計画と調整して、年明けには構想とともに削減数を確定させる予定。
兵庫県内には八月現在、転換対象外の回復期リハビリ病床などを除いて一万三千八百五十九床の療養病床がある。県の試算によると、介護型四千五百九床を廃止。医療型は現在の九千三百五十床から百十四床減らし、九千二百三十六床に。計四千六百二十三床を転換対象とする。
厚生労働省が示した計算式ではさらに約千百床の削減が必要だが、県内の入院患者の状況を調べたところ「介護施設の方が適当」とされる患者の割合が同省の想定よりも低かったため、実情に合わせて算出したという。
一方、患者の受け皿について、同省は医療機能を強化した老人保健施設を新設するなどして整える方針。ただ、転換を不安視する病院関係者は多く、削減が進むか、不確定な要素が多い。
■地域医療への影響懸念 医療機関4分の1転換先未定
療養病床がある県内の医療機関で、老人保健施設への転換を考えているのは一割強にとどまり、四分の一が方針を決めかねていることが、県の調査で分かった。療養病床削減後の患者の受け皿として国が創設する新型老健施設の詳細が未定で、判断に迷う医療機関が多いとみられる。
調査は八月、療養病床がある病院と診療所計二百二十機関に対して郵送で行い、全機関から回答を得た。
国の削減方針にどう対処するか意向を尋ねたところ、「医療療養病床として運営していく」は一万三千八百五十九床のうち七千四百四十七床(53・7%)だった。「老健施設への転換」は千七百六十七床(12・7%)、「廃止・減床」が百七十七床(1・3%)。「未定」が三千七百六十一床(27・1%)に上った。
未定と答えた七十二医療機関に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「転換後の経営の見通しが不透明」(40・3%)。「転換先の介護施設などの基準や報酬が明確でない」(15・3%)、「転換先の介護施設などの医療提供のあり方が明確でない」(12・5%)など、転換先の情報が不足しているという声が相次いだ。
厚生労働省は医療機能を強化した新型老健施設の創設を明らかにしているが、介護報酬など詳細はまだ審議中。県内のある病院関係者は「新型老健ではどの程度の医療を提供できるのかはっきりしない。内容によっては、地域医療に影響が出るおそれもある」と懸念している。
療養病床の削減 国は医療費削減のため、全国に約37万床ある療養病床の大幅削減を打ち出した。当初は2011年度末までに15万床まで減らすとしたが、現在は地域の実情に配慮する意向を示している。介護保険が適用される「介護型」12万床と医療保険適用の「医療型」25万床があるが、介護型は全廃。医療型は患者を3段階に分け、必要性が低い患者は介護施設や在宅療養で対応してもらう-とする。削減対象の療養病床には、夜間看護やみとり対応などを強化した新型老健施設などに転換するよう促している。
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