「ワーク・ライフ・バランス」の実現は、言葉としては結構である。
だが、問題はその中身の基準が何であるか。
憲法は、すべての国民に「健康で文化的な最低限」以上の「ライフ」を保障しており、労働基準法は「ワーク」に「人間らしさ」を求めている。
最低賃金を引き上げ、食えない非正規雇用を正規に転換し、その上でヨーロッパ並の労働時間短縮を実現していくことが必要である。
さて、県の取り組みはいったい何を啓発するのだろう。
仕事と生活の調和を支援 県、300社に相談員派遣(神戸新聞、2月20日)
兵庫県は二〇〇八年度から、仕事と生活の調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」の実現に向けて、県内中小企業への相談員派遣や労使団体の啓発などを行う新事業を始める。人口減少時代を迎え、男女ともに子どもを産み、育てやすい働き方を可能にする環境整備が求められていることから、企業の取り組みを支援する。(小林由佳)
「ひょうご仕事と生活のバランス推進事業」で、〇八年度予算案に約五百七十万円を計上した。県経営者協会、連合兵庫、学識者ら約十人で構成する推進会議を六月までに設置。育児休業者の職場復帰に試行錯誤を重ねる県内企業の実例などを参考にしながら、支援策を協議する。
具体的には、企業や労働組合などへの研修や個別訪問を通して、ワーク・ライフ・バランスに取り組む利点を啓発する。また、中小企業診断士や社会保険労務士、カウンセラーが「仕事と生活のバランス相談員」となり、労使にアドバイスする。年度内に延べ三百社に派遣する予定。
県は〇六年三月に経営者協会、連合兵庫と「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」を結び、多様な働き方のモデル開発に取り組んでいる。しごと支援課は「長時間労働の改善や、短時間勤務を希望する女性と企業のマッチングなど、さまざまなモデルを示しながら進める。まずは企業の意識改革から始めたい」としている。
兵庫県内15社で最低賃金違反 労働局が是正指導(神戸新聞、2月20日)
兵庫労働局が県内の事業所四百十二社を対象に行った最低賃金に関する調査で、全体の3・6%に当たる十五社で違反が見つかり、計四十七人が最低賃金未満で働いていたことが十九日分かった。
調査は昨年六月に実施。同労働局は、違反のあった十五社に対してすでに是正を指導した。
違反率は全国平均の6・4%を下回っているが、昨年十月に決まった県最低賃金の引き上げ額(時給)が、過去五年間で最高の十四円となったこともあり、担当者は「今後も監督を強化する」と話している。
全国では一万千百二十社を対象に調査。最低賃金を払っていない事業所は七百七社あった。違反が多い業種は衣服・繊維製品製造(百十社)、クリーニング(八十六社)、食料品製造(同)など。最低賃金未満の労働者は全国で二千五十一人に上り、68%が女性だった。(小林由佳)
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