梅棹忠夫編『文明の生態史観はいま』(中公叢書、2001年)を読み終える。
梅棹氏が1957年に提起した「文明の生態史観(序説)」の今日的な意義や、
その後の関連する議論の発展を、氏自身の対談を中心に論じたもの。
地球科学の一環として人間社会の歴史を考えるとの立場である。
マルクス主義の歴史観への批判的言及もあるが、
おそらくそこには当時のマルクス主義自身の狭さも反映している。
他方で、地球という自然の制約のもとにありながら、
人間社会がどのような相対的自立性をもつのかについては、
そうした問題自身がしっかり立ってはいないようである。
アメリカの政治的・経済的な地位の低下をきっかけに
今日、現代における世界構造の変化が議論されているが、
社会(世界)の変化を生み出す原動力とは何なのか。
議論をその根底にまで深めていく努力が必要であるように思う。
コメント