インド・アフリカフォーラム首脳会議についてである。
インドがアフリカ34ケ国からの輸入に関税をかけないという。
「南南協力」の新しいあり方の模索だとあるが、その精神をはかる基準のひとつは内政だろう。
国内にある「南南問題」(貧困と格差)にどう立ち向かっているのか。
それが、外交のはらむ思想をはかる1つの基準となる。
第1回 インド・アフリカフォーラム首脳会議 「南南協力」新たな挑戦 途上国の輸出を促進(しんぶん赤旗、4月16日)
インドとアフリカ十四カ国、アフリカ連合(AU)が参加した初の首脳会議「インド・アフリカフォーラム首脳会議」が八、九の両日、ニューデリーで開かれました。インドのシン首相が初日に発表した後発発展途上国(LDC)向け支援策は注目を集めました。
綿、カカオ、アルミニウム、銅、カシューナッツ、サトウキビ、魚の切り身、既製服、非工業用ダイヤモンドを列挙し、LDC産なら関税なしでインドへの輸入を認めるというものでした。
LDCの輸出促進がねらいで、アフリカ三十四カ国が対象となります。最近五年間のインド・アフリカ間の貿易は二十一億五千万ドル(約二千百七十一億五千万円)。シン首相は「向こう五年間で五十四億ドルにする」と意気込みました。
「長期にわたり、適切な利益を得るには、供給能力を構築(輸出増加)しなければならない。私たちはこの意見で一致した」(シン首相)。インド市場の開放はLDCの経済発展につながるという考え方です。累積債務に苦しむLDCには、外国政府からの有償援助にこれ以上頼れない事情があります。
ウガンダのムセベニ大統領は「わが国の公務員には物ごい思考がある。長年、お金をめぐんでもらうために米国に行っていた」と語り、「シンガポールや韓国といった小国がなぜ繁栄したか? それは輸出によってだ。アフリカも輸出先を求めている」と述べ、インドに期待を寄せました。
インド独立の父ガンジーは、南アフリカに出向きアパルトヘイト(人種隔離政策)と植民地主義とたたかいました。セネガルのワッド大統領が、「私たちの付き合いは非同盟運動や国連を通して強化された」と語るように、政治的には深い結びつきがあります。
インドは今回の首脳会議を契機に、アフリカとの経済関係の強化を図りたいと考えています。これを欧米のマスコミは、アフリカを舞台にした中印競争の構図で書き立てています。石油などアフリカの天然資源を、インドが中国より先に多く獲得しようとねらっているというわけです。
当事者たちは「インドは中国ともどこの国とも競争していない」(シン首相)、「私たちは、インドとアフリカ双方が勝者になる関係を探求しているのだ」(アフリカの外交官)と不快感を示しました。
インドや南アフリカは途上国間の「南南協力」を拡大することで、世界の経済秩序をより公正なものにしていこうとしています。インドとアフリカはいま、「南南協力」の新しいスタイルに挑戦しているといえます。(ニューデリー=豊田栄光 写真も)
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デリー宣言(要旨)
第一回インド・アフリカフォーラム首脳会議で採択された「デリー宣言」の要旨は次のとおりです。
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アフリカとインドは過去二十五年以上にわたり大きな変化を経験してきた。双方は歴史的に独立、平等、人権、自由と民主主義のたたかいで緊密な盟友であった。
アフリカ連合(AU)の発足などアフリカでは政治、経済、社会環境の各分野で転換がはかられ、インドでは経済の急速な発展とともに民主主義も強化された。
こうした積極的な達成点をふまえ、双方がより自立的に経済を活性化させ世界の平和のために協力関係を強化することを決めた。
この協力関係は独立、主権、領土保全、アフリカ統合過程の深化、文化、宗教、言語、人種、両性の違いを認め合う対話の促進など、平等、相互尊重、互いの国民の利益のための理解を基本原則とする。
気候変動問題では、持続可能な発展への順応が不可欠だ。先進国には、京都議定書の最初の約束期限に向けて、温室効果ガスの排出量削減の誓約を実際の行動で示す努力が不足していると憂慮する。
温室効果ガスの歴史的削減には、平等で公平な負担の分担が必要だ。
世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)では農業分野での結論が重要だ。いかなる合意も発展途上国での国民生活、食料の安定的供給、農村開発を適切に守らねばならない。
紛争や問題は、多国間の協議で解決するという多国間主義とあわせ、国連安全保障理事会などの民主的改革を誓約する。
すべての国家の安全保障は、核兵器と大量破壊兵器を地球的規模で例外なく検証可能な形で廃絶することで達成される。
われわれは、核兵器を削減して最終的には廃絶するための明確な交渉をよびかける。
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