その昔,立命館で「もっと勉強せんかボケェ」といじめていたお相手から電話がある。
3年間のカイロ人生から帰ってきたらしい。
さっそく「総裁選と格差社会」のテーマを与えられる。
今度はこちらがいじめられる番らしい。
人生はめぐりめぐる。
仕方がないので,とりあえず安倍晋三氏が議長をつとめる「再チャレンジ推進会議」の中間報告を打ち出してみる。
そして関連の新聞記事もながめてみる。
まずは「目標,フリーター2割減 再チャレンジ会議」(朝日)。
「支援策の多くは実施時期や規模があいまいで、実効性は不透明だ」と,評価はさっそく辛口である。
「安倍氏,再朝鮮支援を公約に」(日経)。
「安倍氏はこうした施策を自民党総裁選の際の政権公約の柱に据える意向。経済格差批判を踏まえ、小泉純一郎首相の構造改革路線を微修正し、独自色を出す狙いだ」。
現政権が打ち出す政策をそのまま「公約」にするということは,基本路線の継承の意志が明らかだということ。
それで「微修正」にしかならないわけだ。
だが,「痛みに耐えよ」をスローガンとする格差拡大の政治をすすめてきたことへの自分の責任はどうなっているのか?
そこの反省はないということだろうなあ。
「安倍氏に賛同94人結集 再チャレンジ議連発足」(朝日)。
「世論調査で追い上げる福田康夫元官房長官を意識し、安倍氏側は『先行逃げ切り』を狙うが、仕掛けの早さに党内や霞が関の視線は複雑だ」。
なんだ結局は,総裁選での福田対策の小道具か。
会議の中でも「『国家公務員の中途採用は具体的でいいが、他のところはもう少し具体的に政策を示した方がいい』(石原宏高衆院議員=無派閥)との意見も出たほどだ」。
つまり問題は内容ではなく,安倍派結集するためのきっかけが欲しかったということ。
「議連は安倍氏に近い議員が安倍氏と連絡を取り、周到に準備してきた総裁選向けの『仕掛け』だった。中核となった菅義偉総務副大臣(丹羽・古賀派)らが発足に向けて動き始めたのは、福田氏の訪米が注目を浴びていた5月の連休明けだ」。
国民生活の深刻化をまともにとりあげる候補者はやはりいないらしい。
目標,フリーター2割減 再チャレンジ会議
2006年05月30日23時01分(asahi.com)
安倍官房長官が議長を務める政府の「再チャレンジ推進会議」は30日、パート労働者への社会保険の適用や国家公務員の中途採用枠を広げるなどとした中間報告をまとめた。フリーター数を「10年までに、03年ピーク時(217万人)の8割に」減らす目標を明示。安倍氏は自民党総裁選に向けた政策の柱とする構えで、同日、通常国会終了後に全国各地を訪れて、政策の肉付けを進める考えを示した。 支援策をまとめた「再チャレンジ推進法案」(仮称)を来年の通常国会に提出することも検討する。安倍氏は記者会見で「政策のタマを更に詰め込むことも可能。国民からご意見をうかがうのは有意義だ」と述べた。 「70歳まで働ける企業」の普及に努め、15年の段階で60歳以上の労働力人口を160万人増やす目標も示した。ただ、支援策の多くは実施時期や規模があいまいで、実効性は不透明だ。 |
安倍氏、再挑戦支援を公約に(日本経済新聞5月30日)
政府の「再チャレンジ推進会議」(議長・安倍晋三官房長官)は30日、事業に失敗した経営者らの再挑戦支援に関する中間報告をまとめた。安倍氏はこうした施策を自民党総裁選の際の政権公約の柱に据える意向。経済格差批判を踏まえ、小泉純一郎首相の構造改革路線を微修正し、独自色を出す狙いだ。
「勝ち組、負け組を階級化しない社会をつくっていくことが大切だ」。同日の会議で安倍氏はこう力説した。
中間報告はパート労働者への厚生年金の適用や、国家公務員の中途採用の拡大などが柱。倒産した経営者が再び創業する際の資金調達支援や、個人保証に過度に依存しない融資手法の多様化を金融機関に要請することも打ち出した。 (07:02)
安倍官房長官が力を入れる「再チャレンジ」政策を後押しする「再チャレンジ支援議員連盟」の設立総会が2日、自民党本部で開かれた。出席した国会議員は安倍氏周辺の予想をも上回る94人。9月の総裁選で安倍氏を支持する中堅・若手議員による「安倍派」旗揚げとの見方がもっぱらだ。世論調査で追い上げる福田康夫元官房長官を意識し、安倍氏側は「先行逃げ切り」を狙うが、仕掛けの早さに党内や霞が関の視線は複雑だ。
「政府を代表してごあいさつ申し上げます」
設立総会に出席した安倍氏は冒頭、わざわざ政府の立場を強調し、「政策面で活発な議論をいただき、方向性を支持していただくことはありがたい」と控えめにあいさつした。この日の記者会見でも「政局的な動きではない」と強調した。
だが、額面通り受け取る向きは少ない。議連は安倍氏に近い議員が安倍氏と連絡を取り、周到に準備してきた総裁選向けの「仕掛け」だった。中核となった菅義偉総務副大臣(丹羽・古賀派)らが発足に向けて動き始めたのは、福田氏の訪米が注目を浴びていた5月の連休明けだ。
安倍氏が議長を務める政府の「再チャレンジ推進会議」が5月30日に中間報告を発表するのに合わせ、安倍氏を講師に招いて議連を発足させる――。そんなシナリオのもと、約2週間で総裁選出馬に必要な推薦人の数と同じ20人を発起人として集めた。閣内にあって行動が縛られがちな安倍氏としても、「政府の政策を推進する議連なら、官房長官の立場でも公然と活動できる」(周辺)という大義名分が立つ。
総会の会場は派閥横断的な顔ぶれで埋まり、党内に一定のインパクトを与えることに成功した。菅氏は総会後、記者団に「派閥の数合わせで物事を決める時代ではなくなってきた」と胸を張り、安倍氏支持を公言する山本一太参院議員も「安倍長官に対する期待が派閥を超えて広がっている何よりの証拠だ」。小泉首相も同夜、記者団に「(94人は)多いでしょうねえ」と語った。
安倍氏の攻勢はこれにとどまらない。国民的支持をさらに広げようと、3日以降、テレビ番組出演を活発化させる。国会閉幕後は「再チャレンジ」を掲げて全国を歩き、住民対話も実施。そして、7月の主要国首脳会議(G8サミット)後の正式出馬表明につなげる考えだ。
しかし、総裁選まではまだ3カ月以上あり、「動き出すのはまだ早い」という声も党内には少なくない。森派の一本化問題もくすぶる。それでも走る安倍氏の思惑を、安倍氏と親しい議員はこう解説した。
「福田氏を担ごうとする老練なベテランに、若手中心の安倍氏が対抗するには、先行逃げ切りしかないんだ」
◇新人議員「まさに踏み絵」
安倍氏が「再チャレンジ」を掲げたのは、ポスト小泉レースで小泉改革の「継承者」となると同時に、改革の「負の遺産」とされる部分を是正することが必要と判断したからだ。小泉改革との整合性を考え、安全網の整備や「結果の平等」ではなく、再挑戦の機会を提供する「機会の平等」に重点を置いた。
もうひとつの狙いは、幅広い省庁にまたがる支援策づくりを通じて各省庁幹部との人脈をつくることだった。厚生労働分野には詳しい安倍氏だが、官房長官以外に閣僚を経験しておらず、そこに「経験不足」を指摘する声もあったからだ。
だが、霞が関の反応はいまひとつ。官房長官が閣僚や次官の頭越しに直接局長らと立案することへの戸惑いもあり、明確な具体策は盛り込めなかった。議連に加わったメンバーからも、「国家公務員の中途採用は具体的でいいが、他のところはもう少し具体的に政策を示した方がいい」(石原宏高衆院議員=無派閥)との意見も出たほどだ。
安倍氏は議連の提案による「肉付け」を期待するが、出席議員の関心はもっぱら政局だ。「決して総裁選の準備ではありません」。会長に就任した山本有二衆院議員(高村派)はこう強調したが、会場の熱気にかき消されがち。麻生外相に近い松本純衆院議員(河野グループ)は記者団に「安倍氏支持か」と聞かれると、「全く純粋に喫緊の重要課題にどう取り組むかという勉強会だ」と否定したが、そんな声は少数派のようだ。
そもそも議連の参加呼びかけ自体、衆院当選6回以下、参院当選2回以下の中堅・若手に絞った。福田氏に期待するベテランに対する世代間闘争を意識したものだ。
しかも、衆院の当選1~2回組だけで50人となり、参加者の過半数を占めた。ある新人議員は「ここで入らなかったら、『安倍さんが嫌いなんだ』と思われる。まさに踏み絵」と漏らす。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は2日の記者会見で「安倍派ができたということ」と語った。だが、議連がどのくらい結束していくかは不透明。安倍氏の側近とされる議員の一人には、手放しで喜ぶ様子はない。「小泉改革ではしゃいでいた連中が、今後は安倍というバスに乗り遅れるなと騒いでいるだけだ」
◇
出席議員94人(敬称略)
【森派】小野晋也、塩谷立、大野松茂、木村太郎、高市早苗、石崎岳、高木毅、中野正志、三ツ林隆志、山本明彦、吉野正芳、柴山昌彦、中山泰秀、西村康稔、萩生田光一、赤池誠章、岡部英明、亀岡偉民、木挽司、杉田元司、高鳥修一、福田良彦、松本文明(以上衆院)世耕弘成、山本一太、小林温、岡田直樹、岸信夫、山谷えり子(以上参院)
【津島派】桜田義孝、山口泰明、新藤義孝、加藤勝信、戸井田徹、福岡資麿
【丹羽・古賀派】塩崎恭久、岩永峯一、菅義偉、近藤基彦、平井卓也、宮沢洋一、葉梨康弘、林潤、清水鴻一郎
【山崎派】田中和徳、江崎洋一郎、山際大志郎、平将明、冨岡勉
【伊吹派】松岡利勝、小島敏男、中野清、西川公也、西川京子、谷公一、松浪健太、山本朋広(以上衆院)秋元司(以上参院)
【高村派】山本有二、七条明、河本三郎
【河野グループ】松本純
【無派閥】小此木八郎、浜田靖一、水野賢一、梶山弘志、後藤茂之、吉田六左エ門、菅原一秀、御法川信英、秋葉賢也、赤間二郎、赤沢亮正、石原宏高、上野賢一郎、浮島敏男、遠藤宣彦、大塚拓、片山さつき、木原誠二、木原稔、坂井学、清水清一朗、鈴木馨祐、関芳弘、田中良生、渡嘉敷奈緒美、中森福代、西本勝子、萩原誠司、平口洋、牧原秀樹、武藤容治、山内康一
〈注〉森派と伊吹派以外は衆院議員
秘書による代理出席は21人
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