中川秀直『上げ潮の時代』(講談社,2006年)を読み終える。
副題に「GDP1000兆円計画」とあるが,内容は経済問題にとどまらない。
この人の「所信表明」といって良さそうなもの。
成長の重要性が繰り返されるが,方法はサプライサイド一辺倒。
個人消費の激励なしで,どのように成長が可能となるかについては説明がない。
海外市場でかまわないということなのかも知れないが。
重要なのは「格差社会」の深刻化までもが,成長率の低さのためだと,
経営や政治の責任を回避する立論となっていること。
前政権は「改革だ」と叫び続けて「格差社会」をつくっていたが,
今度は「成長だ」と叫び続けて,同じく「格差社会」を深めていきたいらしい。
財界主導政治の新たな合理化イデオロギーの打ち出しであり,
その「成長」にむけた,一層本格的な財界支援の表明らしい。
リアルな国民「生活」の実態は,まったくどこにも問題となっていない。
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