安倍政権のもとで初の経済財政諮問会議が行われた。
政策課題の提案者は,日本経団連会長を含む民間4議員。
小泉内閣とまったく同じ,「財界いいなり」内閣の証明である。
「成長なくして改革なし」のスローガンのもと,またしても法人税減税が提起され,
早くも諮問会議が受け入れたという。
必要な財源は消費税増税あるいは(および)所得税増税。
まったくもって「国民いじめて財界うるおう」政治である。
くわえて4議員からの7つの提言には,
医療・介護を市場ベースの制度につくりかえ,
さらに労働市場のさらなる効率化などがふくまれている。
この政権には,憲法27条国民の労働権も,
25条生存権も保障する気はないということである。
さすがは改憲内閣と,納得・感心している場合ではない。
「安倍内閣での諮問会議スタート、「新成長経済」へ課題を提言」(朝日新聞,10月14日)。
「安倍内閣で初の経済財政諮問会議(議長:安倍晋三首相)が13日夕開催された。終了後記者会見した大田弘子経済財政相によると「すべての改革のベースに成長がある」との認識で一致。今後5年程度で「新成長経済への移行」を完了させるために、今後2年を「離陸期間」と位置づけ、現在1%台後半の潜在成長率を高めるための改革に大胆に取り組むことを確認した。ただ、具体的な成長目標を設定するかどうかなどは未定」。
「大田経財相は歳出削減を担保するために、地方分権などの制度改革にも踏み込んでいく考えを明らかにした」。
「しかし、今後の運営方針を議論したきょうの会議では、7月に閣議決定された「歳出・歳入一体改革」の歳入改革は姿を消し、御手洗冨士夫・キヤノン<7751.T>会長ら、新たに任命された4民間議員による提言(「創造と成長」に向けて)では、法人税減税を意識したとみられる「グローバル化の観点からの税制の構築が必要」が盛り込まれた」。
「諮問会議は、安倍首相が掲げる「オープン・イノベーション」など経済成長重視の理念を共有し、成長の実現には構造改革の継続が不可欠であるとの認識で一致した。安倍首相は日本経済を新たな成長のステージに引き上げていくために「改革の道筋を早急に策定してほしい」と指示、「成長なくして財政再建なし」路線に軸足が移ったことが色濃く反映されている」。
「きょうの会議では、民間議員が今後の政策課題について提言を行った。提言では「人口減少に直面しながらも、成長力を高めていくことは十分に可能である」とし、1)イノベーションによる生産性向上、2)労働市場の効率化、3)世界、特にアジアに向けたオープンな経済の構築、4)農業分野など民間企業の活動領域拡大に向けた規制改革、5)医療・介護など政府の関与が必要な分野でも市場をベースにした制度の再設計、6)資産の効率的運用への転換、7)地方の自立性を高める分権改革──など7つの課題を提言した」。
「会議は次回以降、民間議員が提起した諸課題について重点項目を絞ったうえで集中審議し、来年1月をメドにまとめる改革の中期方針(改革と展望)に反映させる予定。次回会合では地方分権を取り上げることを決めた」。
「企業減税さらに検討 経財会議、成長重視を確認」(朝日新聞,10月13日)。
「安倍政権のもとで初の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)が13日開かれ、首相が掲げる「経済成長重視」の政策を進める路線を確認した。とくに今後2年間を成長のための「離陸期間」と位置づけ、税制や雇用制度、規制などの改革に大胆に取り組む方針を確認した。消費税増税問題にはまったく触れない一方で、経済界から要望が強い企業減税を検討する方向性を示した。安倍政権の経済政策の軸が企業の国際競争力強化となることが鮮明になっている」。
「同会議のメンバーは首相のほか、閣僚5人、民間議員4人、福井俊彦日本銀行総裁の11人。この日、御手洗冨士夫・日本経団連会長ら民間議員4人は「成長なくして日本の未来なし」として七つの課題を提案。出席者から了承された」。
「このなかで「グローバル化の観点から税制の構築が必要」としたのは企業減税を求める経済界の要望を反映したものだ。法人税率は企業の国際競争力強化のために80年代後半から一貫して引き下げられ、現在の法人実効税率は39.54%(標準税率)。米国の40.75%(ロサンゼルス市)など欧米とほぼ同水準になったが、中国・上海市(33%)などアジアの新興国よりは高い。このため経済界はさらに企業減税するよう求めている」。
「政府は現在も減価償却制度の見直しによる約6000億円の企業減税を検討しているが、経済界はさらに大規模な法人実効税率の引き下げを主張している。経済財政諮問会議は基本的にそれを受け入れた形だ」。
「企業減税をする場合、問題となるのは財源だ。小泉政権での02~06年度の税制改正では、法人課税が1.4兆円減税となり、個人所得課税は3.9兆円の大増税になった。今後も企業減税で不足する財源は、消費税増税か個人所得増税でまかなわれる公算が大きい」。
「ただ、この日の議論では、減税分を補う増税策は当面の検討項目から外された。尾身財務相は消費税などの負担増の議論について「本格的、具体的な議論を行うのは来年秋以降だ」と主張。税制改革について「06年度内をめどに結論を得る」と閣議決定した小泉政権での方針は棚上げされた」。
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