閣僚たちは,いったい何を指標に「デフレ」を議論しているのか。
財務大臣の主張の根拠が「なんとなく不自然だ」では,国民の側はあまりに悲しい。
とはいえ,閣僚の誰が何を「宣言」したところで,大企業の「景気回復」さえもが,手堅い国内消費に依存する安定的なものでないのは明らかである。
国内消費の主力は個人消費だが,それを成長させて,健全な経済の発展を実現するには,どうしても労働者たちの闘いが必要となる。
下の「偽装請負」の告発と克服の取り組みは,その重要な一環をなすものといえる。
「『デフレ脱却』 閣内“不一致” 財務相『宣言していい』 経財相は慎重姿勢」(読売新聞,10月4日)。
「3日の閣議後の記者会見で、デフレ脱却宣言をめぐる経済閣僚2人の見解が食い違い、波紋が広がった」。
「尾身財務相は『景気の状況を総合的に判断すれば、宣言してもいいのではないか』と、宣言に積極的な考えを表明した。一方、大田経済財政相は『米国経済の動向やIT(情報技術)生産の動向などを注意深く見守りたい』と、慎重な姿勢を示した。塩崎官房長官も9月29日の会見で、『本当に脱却したかは慎重に慎重を期して判断しなければならない』と述べている」。
「政府は9月の月例経済報告で、海外経済の動向に注意する必要があるとして、デフレ脱却宣言を見送った。しかし尾身氏は、日本銀行が2日発表した企業短期経済観測調査(短観)について『景気が好調な状況をよく表している』とし、『今の段階でデフレ脱却宣言をしていないのはなんとなく不自然だ』と指摘した」。
「ただ、景気の楽観シナリオが強まれば、日銀の追加利上げ観測を背景に、国債の利払い費増加につながる金利上昇のペースが早まりかねない。このため、おひざ元の財務省では、困惑する声も出ている」。
「『偽装請負』で事業停止 労働局が初の命令 加古川」(神戸新聞 10/4)。
「実際には労働者派遣なのに請負契約を装って違法な『偽装請負』を繰り返したなどとして、大阪労働局は三日、京都市の大手人材派遣『クリスタル』グループの製造業請負『コラボレート』(大阪市)に対し、労働者派遣法に基づき事業停止命令を出した」。
「偽装請負を理由として事業停止命令が出されるのは全国初。コラボレート社は過去に偽装請負で数回行政指導を受けたが改善せず、同社の前身の会社も事業改善命令を受けていたことから事業停止を決めた」。
「労働局によると、八月四日の時点で、同社の姫路営業所が請負契約を結んで加古川市の工場で実施している事業は、同社の従業員約五十人が契約先の会社の指揮命令下で従事しており、実態は労働者派遣事業に当たり、同法違反と判断した」。
「この工場では数年にわたり偽装請負をしていたといい、労働局は契約先の業者に是正指導した」。
「停止命令は姫路営業所が十月四日から十一月三日までの一カ月間、そのほかのすべての営業所が四日から十七日までの二週間で、新たにメーカーなどに労働者を派遣できない」。
「大阪労働局は事業改善命令も出し、原因追及と再発防止を求めた。同社は一カ月以内に改善報告書を提出しなければいけない」。
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