政府はあいかわらず庶民の生活を無視して,大企業利益の拡大をもって「景気回復」を判断している。
この点,大田経財相も変わりなし。
ただし「回復」に力強さはなく,個人消費の行方は今後の懸念要因としてもあげられる。
海外への投資からの大企業等の収益は25ケ月連続での一路拡大。
他方,「景気」を支える海外需要の核心は中国・アメリカ市場だが,アメリカの対中貿易赤字は過去最大。
アメリカがこれの抑制を強めるならば,それは日本からの「迂回輸出」の抑制ともなる。
「大田弘子経済財政担当相は12日、景気の基調判断を『回復している』とした10月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。これで景気拡大期間は57カ月と戦後最長の『いざなぎ景気』(1965年11月-70年7月)に並び、11月には単独で58カ月となり戦後最長を更新するのは確実な情勢だ」。
「2002年2月に始まった今回の景気拡大は、米国や中国など海外の旺盛な需要に支えられ、企業部門がけん引役。政府は企業の好調さが家計部門へ波及し始めているとして、先行きについても『民間需要に支えられた景気回復は続く』との見解を示した。懸念要因としては、高水準の原油価格の動向を挙げた」。
「ただ、高度経済成長期の「いざなぎ景気」と比べると、デフレの影響を受けながら企業がリストラを進めてきた景気拡大のため、回復の力強さは感じられない」。
「10月報告では景気の基調判断を8カ月連続で据え置いた。設備投資については『増加している』と前月の判断を継続。大企業製造業を中心に企業収益の改善が続いていることから、今後も『増加傾向で推移すると見込まれる』とした」。
「また個人消費を『伸びが鈍化している』としたのをはじめ、雇用情勢や輸出などすべての項目で前月の判断を維持。ただ、個人消費については『所得の動向には留意が必要』とし、今後の懸念要因にも注意を促した」。
「月例経済報告は現時点での政府見解。景気拡大期間の正式認定は、有識者らで構成する内閣府の景気動向指数研究会が、拡大局面が終わったとみられる時期から約1年後に行う」。
「8月の経常黒字22.2%増、所得収支の黒字が拡大」(日経新聞,10月12日)。
「財務省が12日発表した8月の国際収支統計によると、モノやサービス、投資など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は1兆4769億円の黒字となり、前年同月に比べ22.2%増えた。海外の株式や債券への投資から生じた配当金や利子収入が好調で、所得収支の黒字が拡大したことが主因だ」。
「所得収支は企業や個人の海外資産からの収益を示す。高い利回りを求めて国内投資家が外国株や債券に投資した結果、25カ月連続で拡大している。8月の黒字幅は1兆3775億円で前年同月比11.1%増。黒字は統計を開始した1985年1月以来2番目の規模だった」。
「8月の米貿易赤字、過去最大の698億ドル」(日経新聞,10月12日)。
「米商務省が12日発表した8月の米貿易赤字(サービスを含む国際収支ベース、季節調整済み)は698億5700万ドルとなり、前月比2.7%増えた。原油価格の上昇や堅調な国内需要が輸入を押し上げ、単月としては過去最大の赤字を記録した。対中国と対石油輸出国機構(OPEC)諸国の赤字も過去最大を更新した」。
「貿易赤字の拡大は2カ月連続。8月の赤字は市場の平均予測(665億ドル)を上回った。」
「輸出は2.3%増の1224億2100万ドル、輸入は2.4%増の1922億7800万ドル。半導体やコンピューター機器を中心に輸出も底堅い伸びを示したが、原油高などを背景とする輸入の拡大が赤字を膨らませた。」
「8月の赤字を地域別(サービスを除く通関ベース、季節調整前)にみると、対中国は219億5900万ドルとなり、前月比で12.2%、前年同月比では18.5%増えた。中国からの輸入が過去最大を更新し、赤字拡大の主因となった。」
最近のコメント