日本経団連会長の御手洗氏が,「法令違反」の偽装請負を正当化する発言を政府の公的会議で行っていた。
発言は,「平成18年第22回経済財政諮問会議議事要旨」の12~13ページの箇所にある。
これを受けて大田経財相は「それはまた労働をテーマにしたときに議論になる」と発言。
議長の安倍首相は直接この発言にはふれず,しかし「再チャレンジ」は「セーフティネット的な救済策ではなくて,人材を活用していく」ことだと自説を強調。
顔の向いている方向は同じということらしい。
「キヤノン偽装請負 告発されて 御手洗経団連会長“法律が悪い” 「制度見直せ」と居直り」(しんぶん赤旗,10月20日)。
「自社の偽装請負が国会でも問題になった御手洗冨士夫・キヤノン会長(日本経団連会長)が、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、請負では製造業者が労働者に指揮・命令できないという現行法の規定について、「請負法制に無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」と発言していたことが十八日に公表された議事録でわかりました。財界トップが会長の企業が法令違反を犯したうえ、“法律の方が悪い”と居直っていることに、労働者から怒りの声があがっています」。
「請負は、製造会社が一年以上継続して使っても、派遣のように直接雇用を申し入れる義務がなく、労働安全衛生の責任も負わずにすみます。ただし、製造業者は請負労働者に指揮・命令できません。大手メーカーは、指揮・命令が必要な製造現場で違法を承知で請負を使い、偽装請負として社会問題化しています。十八日にはキヤノンの工場で働いていた請負会社の労働者が偽装請負を告発し、正社員化を求めました。
労働者派遣法についても御手洗会長は、「三年たったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう」と現行法の「見直し」を要求しました。派遣法では、派遣労働者を三年間(製造業では一年)続けて使ったら使用者側が労働者に直接雇用を申し入れる義務を負います。
御手洗氏の発言は、十三日に開かれた諮問会議でのこと。安倍政権で顔ぶれを変えてスタートした一回目の会合でした。同日、参院予算委員会では日本共産党の市田忠義書記局長が、偽装請負など大企業による無法の一掃を求めて質問。安倍首相は、法令違反には「適切、厳格に対応する」と答弁し、「ワーキングプア(働いても貧困から抜け出せない非正規労働者)といわれる人たちを前提にコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば大変な問題」と述べました。
市田氏が示した資料では、偽装請負で行政処分を受けた会社が属する人材派遣グループ「クリスタル」から百人以上の労働者供給を受けているのは全国百一事業所、最も多いのがキヤノングループの三千三十三人でした。」
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