直接的には非正規社員の雇用条件改善だが,
大局的には「正規並み」にはたらく労働者を非正規身分にとどめる政策といっていい。
格差是正というなら,「再チャレンジ政策」に非正規比率縮小を明記すべし。
「厚労省、正社員とパートの失業給付要件一本化へ」(産経新聞,11月14日)
「厚生労働省は13日、雇用者が失業した際に支給される雇用保険の失業給付(基本手当)について、正社員とパート社員で異なっている受給要件を統一する方針を固めた。現在は会社の倒産や解雇によって失業したパート社員が失業給付を受けるには、正社員の2倍にあたる1年以上の雇用(保険料納付)期間が必要だが、これを正社員と同様に6カ月に短縮する。安倍内閣が掲げる再チャレンジ支援のひとつである正社員と非正社員の格差是正の一環で、次期通常国会に雇用保険法改正案を提出する。
現行の雇用保険法では、失業給付の受給要件について、厚生年金や健康保険の適用基準である週30時間労働で労働者を区分している。パート社員であっても、週30時間以上働けば正社員同様「一般被保険者」の区分になるが、週20時間以上30時間未満労働のパート社員は「短時間労働被保険者」の区分となる。
17年度平均で、倒産やリストラなど非自発的理由による失業給付の実績は、正社員ら「一般被保険者」が20万3351人だったのに対して、「短時間労働被保険者」はわずか1万2298人にとどまった。正社員ら一般が6カ月以上の雇用期間で受給できるのに対して、「短時間労働被保険者」は1年以上の雇用期間が必要なためだ。
しかし、雇用実態をみれば、短時間労働被保険者と区分されているパート労働者が主要な労働力を占めている企業が少なくない。この数年間に企業が人件費圧縮のため、社員の非正規化を進めた結果、パート社員の働き方も多様化。主婦が家計を補うためにごく数時間働くケースばかりでなく、正社員並みに働く人も多い。
総務省の労働力調査(17年度平均)では、1週間の労働時間が35時間未満のパート社員(非農林業)は1510万人だが、うち週30時間以上は約3割の447万人いる。厚労省の推計では、短時間労働被保険者にあたる週20時間以上30時間のパート社員は約650万人だ。
雇用保険の中で、教育訓練、育児休業、高齢者雇用継続などの他の給付については、労働時間による区分はすでになくなっている。
厚労省は今回、失業給付についても、「労働時間の差で分ける意味が薄れた」と判断し、労働時間が週30時間未満のパート社員の受給要件を緩和することにした。」
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