安倍首相は,「慰安婦」は過去の問題,「拉致」は現在の問題と,両者を区別したいようだ。
だが,「慰安婦」被害者は現在も生きて,いまなお日本政府に愚弄と屈辱をなめさせられている。
そんなことすらわからぬか。
アメリカの顔色をうかがいながら自らの「信念」を出し入れしている安倍首相だが,いよいよ「強制性」があったことを軍が知っていれば「慰安所を閉鎖した」とまで語りはじめた。
歴史を空想しているヒマがあるなら,少しでも史実を研究しろ。
「拉致と慰安婦は別問題」 首相、米紙批判に反論(福井新聞,3月26日)
安倍晋三首相は26日夜、米紙ワシントン・ポストから拉致問題には熱心な一方で従軍慰安婦問題の責任を回避していると批判されたことに対し「全く別の問題だ。拉致問題は現在進行形の問題だ」と反論した。
首相は「いま従軍慰安婦の問題は、続いているわけではない。拉致問題は、まだ日本人が拉致されたままという状況が続いている」と述べ、拉致問題解決に尽力する必要性を強調した。国会内で記者団の質問に答えた。
一方、首相は同日の参院予算委員会で、慰安婦問題に関し河野洋平官房長官談話を継承していると繰り返した上で「慰安婦の方々がなめた辛酸に同情し、おわびしている」と述べた。
共産党の吉川春子氏が「日本政府として公式謝罪をしないのか」とただしたのに対しては「首相として、ここで(答弁などを通じて)おわびしている」と述べるにとどめた。
「慰安婦」 被害女性に謝罪を 吉川議員 首相に発言撤回迫る(しんぶん赤旗,3月27日)
日本共産党の吉川春子議員は二十六日の参院予算委員会で、「従軍慰安婦」問題で旧日本軍による強制を認めた一九九三年の河野洋平官房長官談話について、安倍晋三首相が「継承」を表明しながら、強制性を否定する発言を繰り返していることを批判。軍による強制の証拠を具体的にあげ、発言の撤回と被害女性への謝罪を迫りました。
吉川氏は、「河野談話の内容と『強制性はない』という安倍首相の発言は矛盾する。談話を受け継ぐなら発言は取り消すべきだ」と迫りました。
安倍首相は、具体的な答弁を避け、「河野談話を継承していく」と繰り返しました。
吉川氏は、米下院外交委員会でも、オランダ人の「慰安婦」被害女性が、日本軍の捕虜収容所から「慰安所」に連行された事実を証言していることを麻生太郎外相に確認。安倍首相に「これは強制性の証拠ではないか」とただしました。
安倍首相は、「このオランダ人女性も含めて官房長官談話は出されている。ちなみに軍がその事実を知ってただちに慰安所を閉鎖した」などと述べました。
吉川氏は、河野談話を閣議決定するとともに、「首相が被害者に直接会い、謝罪すべきだ」と迫りました。
慰安婦:安倍首相は謝罪、側近は否定 (朝鮮日報,3月27日)
日本の安倍晋三首相は26日、旧日本軍の「従軍慰安婦」の問題について、「内閣総理大臣として、今この場で謝罪する」と表明した。
安倍首相はこの日、参議院予算委員会で、慰安婦の募集における「強制性」を認めるのか否かについてただした共産党の吉川春子議員の質問に対し、「河野談話(1993年、当時の河野洋平官房長官が従軍慰安婦問題についての日本政府の責任を認め謝罪した日本政府の公式文書)に書かれている通りだ。苦難を味わった方々に深く同情し、当時そのような状況に置かれたことに対して謝罪する」と述べた。
安倍首相はまた、「河野談話で認めた従軍慰安婦募集への日本軍の関与や強制性を否定した総理ご自身の発言を取り消すということなのか」という質問に対しても、「そこまで含め、河野談話を継承していく」と述べた。またさらに、「他の閣僚が河野談話を否定する発言をした場合、どう対処するのか」という社民党の福島瑞穂党首の質問に対しても、「内閣として河野談話を継承していくので、そのような事態はあり得ない」と答弁した。
安倍首相のこの日の発言は、今月12日にNHKの番組に出演し、「小泉(純一郎)前首相や橋本(龍太郎)元首相も、過去に元慰安婦の人たちに謝罪の手紙を送ったことがある。その精神に変わりはない」と発言した時に比べて一歩前進したものといえる。
だが一方で、安倍首相の側近の一人である下村博文官房副長官は、この日開いた記者会見で「日本軍の関与はなかった」などと発言し、慰安婦の強制動員を改めて否定した。下村官房副長官は25日にもラジオ番組に出演し、「従軍看護婦や従軍記者はいたが、“従軍” 慰安婦はいなかった」「慰安婦がいたのは事実だが、わたしは一部の親が娘を売ったとみている。日本軍が関与したものではない」と主張した。東京=鄭権鉉(チョン・グォンヒョン)特派員
「安倍首相の謝罪を評価」 慰安婦問題で米国務省(山陽新聞,3月27日)
【ワシントン26日共同】米国務省のケーシー副報道官は26日、安倍晋三首相が同日の参院予算委員会で、太平洋戦争中の従軍慰安婦問題に関し「おわび」を強調したことについて「謝罪がなされたことを評価する。一歩前進だ」と述べ、首相の答弁は有益との認識を示した。国務省で記者団に語った。
副報道官は一方で「これは非常に困難な問題だ。日本が罪の重大さを認識し、率直で責任ある態度で引き続き対処してほしい」と指摘、旧日本軍の関与を否定した下村博文官房副長官の発言などをけん制した。
慰安婦問題、踏み込まず=安倍首相の米紙への反論-米国務省(時事通信,3月27日)
【ワシントン26日時事】米国務省のケーシー副報道官は26日、従軍慰安婦問題と北朝鮮の拉致問題を関連付けた米紙報道に安倍晋三首相が「別問題」と反論したことについて、「詳細は承知していない」としながらも、「安倍首相は過去の日本当局者による発言を繰り返したのだと理解している」と述べ、詳しい論評には踏み込まなかった。
米国では慰安婦問題と拉致問題を絡ませて論じる空気が出てきており、この日の国務省の記者会見でも「拉致問題は6カ国協議の合意履行に悪影響を及ぼすのではないか」といった質問が外国メディアから出された。
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