イラン、アフガン帰還兵のホームレスが非常に多いという調査結果である。
戦争による心身の痛手が、まともに働くことを許さなくなるということである。
その中で、アメリカ議会は、賃上げや精神科医・カウンセラーの増員を行ってでも、軍人確保を目指す予算をつくっている。
こんな国のいいなりになる日本の政府というのは……。
米国ホームレス 4人に1人 退役軍人 イラク帰還兵 深刻な戦争後遺症(しんぶん赤旗、11月10日)
【ワシントン=山崎伸治】米国でホームレス状態にある人の四人に一人は退役軍人であることが民間組織の調査でわかりました。十八歳以上の人口に占める退役軍人は11%であり、一般の人の二倍以上の割合でホームレスとなっていることになります。イラク、アフガン戦争の長期化でさらに増えることが懸念されています。
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全米ホームレス根絶連合が退役軍人省と国勢調査局のデータをもとに推算し、十一日の退役軍人の日を前に公表した報告書で明らかにしました。
それによると二〇〇六年には、常時十九万五千八百人の退役軍人がホームレス状態にあると推計。これは七十四万四千人のホームレス人口の約26%にあたります。さらに同年にホームレス状態を経験した退役軍人の総数は四十九万五千四百人と推計しています。
報告はホームレスとなる理由として、(1)収入不足(2)身体的な障害(3)精神面の障害(4)薬物依存(5)社会的つながりの弱さ(6)社会保障制度の欠如―を指摘。一般の人がホームレスとなる理由と変わらないものの、長期にわたって家族・友人の支えがないことや訓練・勤務から来るストレスなど、退役軍人には乗り越えなければならない課題が多いと分析しています。
特にイラク、アフガニスタンからの帰還兵の置かれている状況は深刻です。帰還兵のうち二十―二十四歳では失業率が15%にものぼっています。二万人以上が身体に障害を持ち、イラク帰還兵の19%、アフガニスタン帰還兵の11・3%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)など精神面での障害に悩まされていると指摘。ホームレスになる危険が高いことを強調しています。
報告は「ホームレスや低所得者には予算や政策をめぐる環境がますます厳しくなっている」と懸念を示しつつ、退役軍人のための住宅支援事業などの措置を実施するよう求めています。
【ワシントン=山崎伸治】米下院は八日の本会議で総額四千五百九十六億ドル(約五十二兆円)にのぼる二〇〇八会計年度(〇七年十月―〇八年九月)の国防予算を可決しました。国防総省の要求額を三十五億ドル下回るものの、対前年度比9・5%、三百九十七億ドルの増額となります。
焦点の一つとなっていたミサイル防衛計画には八十六億ドルを支出。ただポーランドへの基地建設費用八千五百万ドルは盛り込まれませんでした。
戦争が長期化するなか兵士の待遇改善として、3・5%の賃上げを承認。二十六億ドルを家族の支援や精神科医・カウンセラーの増員などにあてます。
同予算にはイラク、アフガニスタンの戦費は盛り込まれていませんが、地雷・奇襲対応車両(MRAV)と呼ばれる装甲車を製造するための予算百十六億ドルについては認めました。
ブッシュ政権は戦費を含む総額千九百六十四億ドルの追加予算の審議を行うよう再三要求。民主党は今後、追加予算のうち五百億ドル程度を「つなぎ予算」として承認し、あとは政権側の動向をうかがう方針です。
〇八会計年度の国防予算をめぐっては、上下両院で異なる法案を可決したため両院協議会で調整されていました。同年度の予算審議は年度が始まったにもかかわらず大幅に遅れています。
国防予算採決では進歩議員連盟のリン・ウルジー、バーバラ・リー両共同議長、民主党大統領候補に名乗りを上げているデニス・クシニチ議員ら十三人が反対しました。上院で可決のあとブッシュ大統領に送付され、成立の見通しです。
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