東アジアサミットでの温暖化宣言に、インドが難色を示している。
原案のたたき台がAPECでの合意であれば、それに参加していないインドが反発するのもわからないではない。
問題が数値目標の「合理的根拠」であれば、それは話し合いによって解決できることであろうが。
より根本には、やはり「南北格差」の問題がある。経済開発や環境対策における「北」から「南」への積極的な協力が、あわせて論じられて良いことだろう。
数値目標にインド抵抗 東アジアサミット温暖化宣言案(朝日新聞、11月4日)
21日にシンガポールで開かれる東アジアサミットでの採択を目指す、地球温暖化に関する「シンガポール宣言」の原案が明らかになった。同サミットが温暖化問題で宣言をまとめるのは初めて。アジア太平洋経済協力会議(APEC)を踏襲し、エネルギー効率の域内数値目標などを盛り込んでいる。だが、APEC非参加のインドが強く反発していることから、数値目標を断念する見通しが強まっている。
東アジアサミットは今回が3回目。議長国シンガポールが、このほど原案を各国に示した。
エネルギー効率を2030年までに05年比25%以上向上させる▽温室効果ガスの二酸化炭素を吸収する森林の面積を20年までに1500万ヘクタール以上増やす――との域内(16カ国)の数値目標を提示。米国や中国などが参加した9月のAPEC首脳会議での「シドニー宣言」に倣った内容だ。
数値目標に拘束力はないが、交渉筋によると、事前の高級事務レベル協議では、インドだけが「合理的根拠がない」「国別自主目標なら作るが、域内目標には反対」などと主張。文案調整が難航しているという。
インドは現在世界5位のガス排出国だが、15年前後には3位になる見通し。全主要排出国が加わった実効性のある枠組み作りを目指す「ポスト京都」の交渉で排出量1位の米国、2位の中国とともに動向が注目されている。
米政府が主催し、日中印、欧州連合(EU)などが参加した9月の主要排出国会議は、13年以降のポスト京都の枠組みについて「国連の下での交渉を09年末までに終える」ことでは一致した。だが、排出量削減の具体論で新興国が拒否反応を示す構図に変化はない。
協議が本格化する国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)を来月に控え、「インドは守りの意識を強めている」(交渉筋)との見方もある。東アジアサミットでの宣言がAPECより大幅に後退すれば、ポスト京都の交渉に冷や水を浴びせることになる。
コメント