自民党政治を批判することなしに政権に近づくことはできず、その一方で、自民党政治の大枠を否定することはできない。
このジレンマの中にいる民主党だが、日本経団連は、そうしたわずかの自民党批判についてさえ、気に入らないとの評価である。
小沢氏が「大連立」を推進すべきと考えた3つの理由の1つに、政権担当能力が低いとの社会的評価をあげていたが、それは、アメリカと財界からの批判を重く見たということだったのだろう。
すでに日本経団連の政策評価原案は、11月2日には明らかだったのだから。
それにしても、消費税、ホワイトカラーエクゼンプション、給油などでの民主党の政策が気に入らないという日本経団連の「財界・アメリカいいなり政治」への求めは協力。
自民据え置き、民主はダウン…経団連が07年政策評価(FujiSankei Business i. 11月13日)
日本経団連は12日、会員企業が政治献金を行う際の政策評価基準となる自民、民主両党の政策評価を公表した。税財政など10項目の優先事項について、自民は最も評価が高い「A」は前年と同じ9項目、民主は昨年と同様に「A」はゼロだった。下から2番目の「D」評価は、民主が昨年の2項目から4項目に増えたのを含め、6項目で評価がダウンするなど、相対的に安倍前内閣が進めた路線を高く評価する内容となった。
自民は昨年の臨時国会で行った教育基本法改正や、今年の通常国会で成立した国民投票法などを「長年の課題を政治主導で解決した」と評価。法人実効税率引き下げの結論が出ていないことや、独禁法の審判制存続などから、評価ポイントの総数は据え置いた。
一方、民主は雇用・就労などの分野で相反し、合致度、取り組みともD評価。臨時国会に提出した「農業者個別所得保障法案」に対し、「財源などの道筋が明らかでない」と通商経済協力分野でも評価を引き下げた。
民主急落、自民前年並み 経団連の07年政策評価(中国新聞、11月12日)
日本経団連は十二日、会員企業が政治献金する際の判断基準となる二○○七年の政党政策評価を発表した。自民党は全般でほぼ前年並みだった一方、格差是正策を重点課題とする民主党は六項目で点数を落とすなど評価が急落した。政党政策評価は全十項目。
特にインド洋での海上自衛隊の給油活動継続に反対する民主は、外交・安全保障の取り組みなど二項目が新たに落第点の「D」に下がり、D評価が前年に比べ四項目と倍増。参院で与野党が逆転した「ねじれ国会」で民主の影響力が強まっている中、経団連として同党の政権担当能力に疑問符を付けた形となった。
御手洗冨士夫経団連会長はこの日の記者会見で「自民党の政策は経団連の政策要望と総じて一致しているが、民主党の政策は背反するものがある」と語った。
自民は教育基本法改正などが評価され「教育改革」など計三項目の評価が上がったが、法人税率の引き下げ見送りが響いた「税・財政改革」など三項目で逆に減点された。
民主は「技術革新」の取り組みは唯一評価が上昇。しかし消費税率を引き上げずに、基礎年金を全額税金で賄うとした参院選の公約やホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)への反対姿勢などが問われ「民主党の政策は受け入れがたい」(中村邦夫経団連副会長)とされ、減点対象となった。
この結果「雇用促進」で「D」判定が増えたほか「税・財政改革」「道州制導入」「通商・経済協力」など六項目で減点され、差し引き五項目で評価が下がった。両党ともに昨年十月から今年十月末までが政策評価の対象期間となった。
経団連の政策評価は自民寄り、民主には辛口(読売新聞、11月12日)
日本経団連は12日、会員企業・団体が自民、民主両党に政治献金する際の目安になる2007年の政策評価を正式発表した。自民党には、最高の「A」を昨年と同じく9か所つけ、改革路線を高く評価した。一方、民主党は、下から2番目の「D」を昨年の2か所から4か所に増やした。
経団連の御手洗冨士夫会長は同日の記者会見で、「自民支持」を鮮明にした理由について、「自民党の政策は経団連と総じて方向性が一致しているが、民主党は相反する分野がある」と述べた。経団連が今年8月下旬に開いた政治対策委員会では、参院第1党となった民主党の存在感が高まったことから、「民主党の政策を見極める必要がある」との声が出ていた。
しかし、臨時国会で与党との対決姿勢を崩さず、経団連は「中長期的にみて、(民主党の政策は)日本の発展、成長にプラスにならない」(大橋光夫政治対策委員長)と判断。ただ、経団連が、自民党が野党に転落した1993年、会員企業に対する自民党への献金のあっせんを中止し、自民党との関係が一時冷え込んだことも無関係ではない。今回、民主党に「辛口評価」したのは、「自民党からのしっぺ返しが怖いからだ」(産業界関係者)と見る向きもある。
経団連の会員企業・団体は06年の献金額は、自民党向けの25億3000万円に対し、民主党向けは8000万円にとどまっていた。ただ、政策評価では、民主党に対し、自民党と政策協議して改革を進めるよう期待感も示した。
自民に高評価、民主は大幅ダウン=07年の政策評価-経団連(時事通信、11月12日)
日本経団連は12日、会員企業が政治献金を行う際の指針となる2007年の自民、民主両党の政策評価を発表した。衆参の「ねじれ国会」で民主党の存在感が高まっている中、自民党の評価が4項目でアップ。民主党への評価は逆に6項目で下げ、大幅ダウンとなった。
政策評価は今回が5回目。御手洗冨士夫会長は会見で「自民党は総じて経団連と政策の方向性が一致している」と、自民党を支持する姿勢を改めて強調した。
評価の対象期間は06年10月から今年10月末まで。税財政改革、規制改革・経済法制など10項目の優先政策事項について「合致度」「取り組み」「実績」に分け、それぞれAからEまで5段階評価する。ただ、民主党は政権与党でないため、「実績」は採点しない。
民主急落・自民横ばい、経団連評価 政権担当能力に疑問符も(中日新聞、11月12日)
日本経団連は12日、会員企業が政治献金する際の判断基準となる2007年の政党政策評価を発表した。自民党は全般の政策では、ほぼ前年並みの評価だったが、格差是正策を重点課題とする民主党は6項目で点数を落とすなど、評価が急落した。政党政策評価は全10項目。
特にインド洋での海上自衛隊の給油活動継続に反対する民主党は、外交・安全保障の取り組みなど2項目が新たに落第点の「D」評価に下がり、D評価が前年に比べ4項目と倍増、経団連として政権担当能力に疑問符を付けた形となった。
自民党は教育基本法改正などが評価され「教育改革」など計3項目の評価が上がったが、法人税率の引き下げ見送りが響いた「税・財政改革」など3項目で逆に減点された。
民主党は「技術革新」の取り組みが唯一評価を上げたものの「税・財政改革」「雇用促進」「道州制導入」など6項目で減点され、差し引き5項目で評価を下げた。(共同)
経団連が“通信簿” 自民 教基法の改定評価 民主 与党との協議期待 献金配分の指標(しんぶん赤旗、11月13日)
日本経団連は十二日、企業献金の指標となる自民党と民主党への政党“通信簿”を発表し、憲法「改正」に通じる国民投票法の制定や教育基本法の改悪など自民党の実績を評価する一方で自民党と民主党との政策協議を要請しました。
政党“通信簿”は、大企業の要求を十項目の優先政策事項にまとめ、「合致度」「取り組み」「実績」の三点からA(推進)からE(逆行)までの五段階で評価します。各企業による企業献金の指標となるもので、自民党と民主党に大企業・財界本位の政策を競い合わせ実行を迫ります。
自民党にたいする「A」の評価は昨年と同様の九つでした。教育「改革」は、「合致度」がA、「実績」がBとなり、昨年からそれぞれ一ランク上昇しました。「教育基本法を制定来、初めて改正し、公共の精神や道徳心などを強調した」と指摘しています。また、経済連携協定の締結加速や道州制導入の検討も評価しました。
一方、法人実効税率の引き下げが見送られたことについては不満を表明しました。
民主党については、「科学技術や教育など優先政策事項の方向とほぼ一致する分野もあるが、雇用・就労など相反するものも見られる」と指摘。雇用分野や通商分野などで昨年より厳しく採点しました。農業の戸別所得補償は「実現可能性」に疑問があるとしました。「政府・与党と建設的に協議し、改革を進めることが強く期待される」としています。
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