アメリカ主導の多国籍金融機関やアメリカ等の銀行によって借金漬け、金利漬け、金融的従属のものにおかれてきた中南米だが、ベネズエラにつづいてブラジルも借金を完済。
経済主権の自由度は、これでグッと増していくことになる。
ブラジル 債権国に転換 米欧依存を脱却 大統領が表明(しんぶん赤旗、2月27日)
【メキシコ市=松島良尚】自主的な経済政策を掲げるブラジルのルラ大統領は二十五日、定例ラジオ番組で、同国史上初めて対外資産が対外債務残高を超えたと述べるとともに、輸出先の多様化によって米国や欧州への経済的依存から脱したと強調しました。大統領によれば、一月の外貨準備は約千九百億ドルに達しました。
中央銀行の発表では、同月の海外資産は政府と民間の債務を約四十億ドル上回りました。これにより長い間対外債務に苦しんだ同国は、歴史的に初めて債務国から債権国に転換しました。
大統領は番組で、ブラジル経済は約5%の安定的な成長を保障しうるサイクルに入ったと指摘。同時に、「もっと成長できる条件があるが、責任ある成長という点が重要だ。消費が生産能力を超えてインフレになってしまう過度の成長にはしない」と強調しました。
好調な経済の背景にあるのは、貧困対策や最低賃金の大幅引き上げなどによる内需拡大や輸出増です。アラブ諸国との貿易額がこの四年で三倍になったのをはじめ、途上国同士の南南協力を推進するもとで中国や他の発展途上国との貿易が増大しました。
大統領は、「もう米国や欧州頼みではない。ブラジルは今日、世界の多くの国に輸出している。このことによって、米国の危機にも冷静に対処できる」と述べ、サブプライム問題に端を発した米国の景気後退の影響への懸念も払しょくしました。
ブラジルの歴代政権は対外借り入れに依存。一時は二千四百億ドルを超える対外債務をかかえ、八九年には利払いの停止にまで追い込まれました。
九〇年に打ち出された国営企業の民営化や補助金削減などを柱とする「財政安定化計画」も失敗し、経済危機が発生。九八年の通貨危機では国際通貨基金(IMF)などから四百十五億ドルの融資を受けました。
ルラ政権は、発足時に千六百億ドル以上あったIMF債務をはじめとする対外債務の返済に取り組み、IMFに千八百億ドル以上を支払い、昨年完済しました。
コメント