変化の大きなところに、投機資金が群がるのはどこでも同じだが、ベトナムにもそれが起こっている。
外資を活用して成長するとの戦略と、外資の破壊的作用を抑制する市場管理の戦略と、両者の具体的な調整能力が実践的に問われているということである。
ベトナム 不動産バブル 都市部 年5倍にも 国内外から投機マネー(しんぶん赤旗、2月25日)
ベトナムの都市部の不動産価格が高騰を続け、政府当局は「投機によるバブル」だと警戒を強めています。海外からの投機マネーの流入も指摘されています。(ハノイ=井上歩、写真も)
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「不動産価格に目が回る」――。ホーチミン市に本社があるベトナム主要紙「トゥオイチェ」はこんな見出しを掲げ、地価高騰を繰り返し特集しています。
同紙によると、多数の都市開発プロジェクトがすすむホーチミン市郊外の一平方メートルあたりの地価は、昨年二月の三百万ドン(約二万七百円)から、ことし二月には千五百万ドンと急騰。市中心部に近い別の開発地区の地価は一平方メートル四千五百万ドンで、二〇〇五年比二倍となっています。
ホーチミン市経済研究所のチャン・ズー・リック所長は今月、地元メディアに対し「不動産価格はいまバブル状態にある。成長しているのは投機筋の転売市場で、不動産投機による過熱が危機を生んでいる」と明言。開発にたずさわる不動産業者が別の業者などに売り抜けて短期的な利益獲得をはかる事態が多発しています。
同市で都市開発プロジェクトを手がける不動産業者は、外国企業がベトナムの不動産業者に資金供給していると話します。「ベトナムの会社も、いい土地ならいくらでも出せる。外国企業が背後に立っているからだ」といいます。
昨年、ベトナムへの外国直接投資は初めて二百億ドルを突破、〇六年比約67%増となりました。とくにホテル・リゾート開発、住宅開発など不動産分野への投資が急増。ホーチミン市への投資の85%、約二十億ドルが不動産分野でした。賃貸物件などへの長期投資とされていますが、政府の計画投資省は投機的な側面も指摘しています。
そのほか投機の原資には「国内の遊休資金が大きい」こともあるとホーチミン市経済研究所のファム・ビン・アン経済管理制度研究室長はいいます。在外ベトナム人(越僑)からの送金が投機に向けられている可能性もあります。ただ「不動産市場の透明性が低いのが現在の制度の弱点で、投機の資金源をつかむことができない」(アン室長)といいます。
地価高騰は生産コストを引き上げ、中間層からマイホームを遠ざけるなど経済・社会に「非常に大きな害悪」(リック経済研究所長)を与えます。ベトナム政府は対応の遅れを認めながら、不動産売買で得た利益への課税など対策を急いでいます。
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