原武史・保阪正康『対論 昭和天皇』(文春新書、2004年)を読み終える。
先に読んだ、原武史『昭和天皇』を補足する気分での読書。
京都から東京への天皇による大規模な儀礼空間の移動、
天皇のオマル、日中戦争以後の急速な神格化の演出、
皇后の独自の社会的機能、昭和天皇退位を中曽根氏も求めた事実、
儀式の中継でも「玉音」は流れず(それだけに8月15日はインパクトがあった)、
イデオロギーの内面化以上に行動の統制がもたらした反射的な心性、
視覚の支配から時間の支配へ、38年からの夏の甲子園での英霊への黙祷、
「神代」を認める国学・復古神道とそれを正史としない水戸学の対立、
明治以後天皇を社会改革の担い手とみる気分……。
戦時期の昭和天皇とそれをとりまく人々との関係、
天皇の胸の内などが、きわめて多面的に論じられる。
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