浜野忠夫『時代を開く党づくり』(新日本出版社、2008年)を読み終える。
共産党の政党建設論であり、その指導的担い手となる幹部についての議論である。
どこの政党にも時々の政策についての主張はあるわけだが、40万の党員、2万3000の基礎組織をかかえるこの政党の組織論はまったく独自のものといって良い。
1960年代以前にはソ連や中国への「信奉」があったこと、戦争直後の一時期、党員の年齢制限がなかったこと、「50年問題」克服の過程にあった多くの葛藤、安保闘争の中では社会党・総評の幹部も「赤旗」を読んだこと、党員や「赤旗」購読者を増やす上での地方ごとの励まし合いや独自の工夫など。
組織づくりの方針や歴史が、この党と著者個人の歴史的で具体的な政治体験とからめて展開されるところが面白い。机上の公式主義を越えた「政治」のリアリティがそこにはある。
巨大化するこうした組織にあっては、指導する側の力量の向上とともに、自発的に結びつく党員各人の知的・政治的教養の向上が不可欠になる。
それがこの党の特徴でもある学習の強調につながっている。
この点にかかわり、気になったのは、各人がいまどういう文献を学ぶかについての具体的な言及がほとんど見えないこと。
かつてのような独習文献一覧の提示には、学びの内容と同時に、求められる学びのスケールを示す上でも大きな役割があったと思う。
独習の気風を充実させる今日的な方針の具体化に期待したい。
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