一旦「廃止」が決まった「教育再生懇」だが、存続が決まったそうだ。
とはいえ、それは靖国派の巻き返しである以上に、文科省が予算獲得に向けて活用できるチャンネルと位置づけた結果のようである。
文科省巻き返し?「教育再生懇」一転して存続決定(読売新聞、08年12月4日)
麻生首相は4日、首相官邸で塩谷文部科学相と会談し、政府の教育再生懇談会(安西祐一郎座長)について、当初の廃止方針を転換し、存続させることを決めた。
首相直属の検討機関として引き続き活用し、政府一体で教育改革を推進する。麻生政権発足後初めて、今月中旬に全体会合を開催する。
首相は会談で、懇談会の新テーマについて、教育委員会の改革や教育の経済負担のあり方、スポーツ庁設置などを挙げ、次回の全体会合までに最終的な案をまとめるよう、文科相に指示した。メンバーの増員も検討する。文科相はこの後、記者団に対し、「教育は継続性も必要なので、(懇談会の)名前はそのままだ。人選は新しいテーマに即した人を加える」と説明した。
首相は当初、教育再生懇談会について、「『具体論は文科省に任せればいい』との考えで、活用する意識は一切なかった」(首相周辺)といい、現在取り組んでいる教科書や教育委員会の改革などの議論がまとまった段階で廃止し、教育問題を中央教育審議会(文科相の諮問機関)に委ねる方針を固めていた。
だが、こうした首相の姿勢に、政府内から「麻生政権は教育への関心が薄い、とのメッセージを国民に与えてしまう」と懸念する声が上がり、文教族である河村官房長官も、首相に「教育は簡単なものではない」と存続を進言していた。
懇談会の前身である教育再生会議は、安倍元首相の肝いりで2006年10月に発足した。同会議は、文科省と中教審が主導する政策決定を否定し、同省と衝突したが、福田政権で懇談会に衣替えすると、「融和ムード」に変わっていった。
文科省側が「官邸の懇談会と連携すれば、予算獲得や政府内の発言力確保に有利」との計算から、存続へ強く巻き返しを図ったとの指摘も出ている。
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