私の職場でも、理事会からの「賃下げ」提案を受けての「交渉」を、来週早々に行います。
以下は、「世間がマイナスなんだから、少しくらいの減給は仕方がない」という学内の一部の空気に対する私なりの意見です。
大学組合のメーリングリストに流した文章に、若干の直しをいれたものとなっています。
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①本学の経営状態は決して悪いものではありません。むしろ資産(貸借対照表の「その他の固定資産」と「流動資産」の合計)は増加の傾向です。これについては、すでにMLにも流しましたので省略します。
②「世間」に経営状態の悪い企業があるのは事実です。そこでは、賃金カットもつづいています(ただし、資本金10億円以上の企業で見ると、それらの内部留保〔企業の資産〕は、バブルのピークである1990年のおよそ2倍にふくらんでいます。私は、これら体力のある企業が、この1年ほどの経済危機を理由に、賃金カットをするのは、世の消費力を衰えさせ、不況を深めるだけの誤った行為だと思っています)。
③そこに人事院からのマイナス勧告もあり、「世間がマイナスなんだから」という空気が強くつくられています。
④しかし、考えてみれば、マイナスを勧告した人事院は民間給与の動向を「参考」にしたものです。
⑤この人事院勧告にこんどは、反対に民間職場である私たちの学院が従えば、ますます民間給与は低迷し、これがさらに次の人事院のマイナス勧告につながるという、社会全体での「賃金破壊」の悪循環を促進するだけです。
(本学には「主として人事院勧告に準ずる」という給与規則(就業規則)があります。)
⑥実際、政府の統計でも、労働者の平均給与は1997年をピークに、以後、長く大幅な下落を見せてます(家計可処分所得も同様です)。これは戦後初めての現象です。それがワーキングプアやホームレスの拡大など、これまでになかった深刻な貧困を社会に生みだす大きな要因となっています。
⑦この悪循環を断ち切るために、どこかで「世間のマイナスを食い止める」変化をつくる必要があります。
⑧それを行うことができるのは、実際に賃下げをする必要がなく、むしろ賃上げがあって不思議ではない経営状態にある職場です。そのひとつが小さくとも私たちの職場です。(本来であれば大企業職場でこそ、それを行ってほしいと思うのですが)
⑨そして、そういう賃下げストップあるいは賃上げは、私たちの消費力をいささかながらも高め、地域社会の売り上げアップにも貢献するものです。
⑩さらに「神戸女学院は賃下げを食い止めた」という事実が広められれば、少なくともそれは周辺大学の労働組合や教職員にとって「世間はマイナスばかりではない」という激励にもなっていくでしょう。
⑪その反対に、私たちが、「世間がマイナスなんだから」という理由で、今回の「給与マイナス提案」を受け入れていけば、それは「世間」に対して、「神戸女学院でさえマイナスなんだから」と、賃金破壊の悪循環をますます押し進める役割を果たすことにしかなりません。
⑫あわせて、私たち教職員1人1人の仕事は、毎年キツクなってはいないでしょうか。
⑬本学の内部事情を見ても、私たちの組合の社会的な役割という角度から考えても、どちらが私たちのとるべき道であるかは明快ではないでしょうか。
⑭「世間がマイナスなんだから」、だからこそ私たちが、その「世間」を少しでもつくりかえる努力をする必要があるのではないでしょうか。
以上、ご検討いただければさいわいです。
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