靖国参拝をやめよという,アメリカ政界からの声が強まっている。
「米下院 靖国参拝 悪習やめよ 『遊就館の歴史観は誤り』」(しんぶん赤旗)。
「米下院外交委員会は十四日に日本と近隣諸国に関する公聴会を開き、小泉首相の靖国神社参拝に反対を表明してきたハイド委員長が、靖国神社の遊就館の歴史観を批判、是正を求めました。他の出席者からも、小泉首相や後継者の靖国参拝への厳しい批判が飛び出しました」。
「太平洋戦争に従軍した経験を持つハイド議員(共和党)は、遊就館の展示が日本の戦争について『西洋帝国主義の支配から解放するためだったと若い世代に教えているのは困ったことだ』と主張。『この博物館(遊就館)で教えられている歴史は事実に基づいていない、是正すべきだ』と語りました」。
「ナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者であるラントス議員(民主党)もハイド議員の主張に呼応。『日本が過去の歴史に正直に取り組んでいないことは、日本自身にとって大きな危害となっている』と述べ、『日本の歴史健忘症の最も顕著な例が、日本首相の靖国参拝である』と指摘しました」。
「同議員は、A級戦犯をまつっている靖国神社への首相の参拝は、『ドイツのヒムラー(ナチス親衛隊総司令官)、ゲーリング(ナチ政権下でヒトラーに次ぐ実力者)らの墓に花輪を置くに等しい』とも語りました」。
「また、日本の次期首相への『メッセージはシンプルだ』とし、『戦争犯罪人に敬意を表することは道徳的に破綻(はたん)している。この習わしをやめなければならない』と述べました」。
「同議員は、侵略の歴史を美化する『新しい歴史教科書をつくる会』の教科書を日本政府が検定合格させたことにも言及。『南京大虐殺はなかった。日本は他のアジア諸国を帝国主義から守るために開戦しただけだ』とする教科書を『歴史修正主義』だと表現。将来の日米関係にとっても、『日本の超国粋主義者を除くすべての人々にとって、率直に公然と過去と向き合う日本の姿勢が最高の利益であることは明白だ』と語りました」。
その一方で,安倍氏は,いまだに靖国参拝への批判を,「中国,韓国」との関係という自分で勝手に設定した狭い視野の中でしか論ずることができずにいる。
「明確化求める声に反論 安倍氏、靖国参拝問題で」(東京新聞)。
「安倍晋三官房長官は14日の自民党青年局の討論会で、自らの靖国神社参拝の有無を明確化しない考えを重ねて示した上で『参拝に反対の人がはっきり言え、という。中国、韓国が嫌がることを言え、というのと等しく、何かちょっと変だなと感じている』と、明確化を求める声に反論した」。
「安倍氏は『この問題が外交、政治問題として利用される中にあって(参拝の有無を)宣言するつもりはない』と強調。靖国参拝に賛同する人には『私の思いをかなり理解してもらっている』とも述べた」。
『美しい国へ』で「闘う政治家」を自称する安倍氏ですが,はたして彼に,アメリカからの批判と「闘う」日は来るものでしょうか。あるいはこの問題については「アメリカいいなり」を証明するだけなのか。
他方で,靖国参拝を一大国際問題にした小泉内閣の一翼をになう公明党は。
「公明が運動方針案、首相の靖国参拝を批判 靖国問題」(読売新聞)。
「公明党は13日の常任役員会で、今後2年間の党の方向性を示す運動方針案を決めた」。「中国、韓国との関係について、首相の靖国神社参拝を批判し、『絶え間ない首脳間対話以外に解決の道はない』と安倍官房長官の首相就任を念頭に、靖国参拝をけん制している」。
「反面、自民党と対立の可能性がある、集団的自衛権の問題や新たな国立追悼施設の建設などには触れなかった」。
靖国へ行くなら入閣しない。そういうキッパリとした態度はやはりとれない。
政治のキャスティングボードを握るとこの政党は良くいうが,参拝中止に向けたその活用はまるで念頭されていない。
「けん制」するのは結構だが,この政府を支え続けた自らの過去の態度への評価を明快にせよ。
ついでに「運動方針は、30日の党大会で正式に決定される」。
「同案では、自民党との連立政権の成果に、経済再生、政治資金や政官業癒着構造の改革、社会保障制度の立て直しの三つを挙げた。今後の課題には、〈1〉教育改革〈2〉新しい経済成長〈3〉地域再生〈4〉格差抑制〈5〉少子高齢化――の五つを示した」。
これだけ「格差」を拡大させ,「少子化高齢化」を深刻化させておきながら,それを「成果」だと強弁したいらしい。
大会では,そのためにどのような具体的根拠が示されるのか,あるいは何も示すことができないのか,そこが1つの注目点。
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