「再チャレンジ」政策の具体化がまったく進まないということだが,最初からこれは「格差社会」の進行をごまかす目くらましのスローガンなのだから,話がすすまないことは不思議でもなんでもない。
だいたい『美しい国へ』で「非正規雇用の必要」を説いた安倍氏に,ワーキングプア問題の解決などはかれるはずもない。
すでに今月の経済財政諮問会議には,労働市場の一層の「効率化」を求める「民間4議員」(財界人たち)の要望が出されているが,必要なことは今ある政治への期待ではなく,これをつくりかえていく社会の力を育てることである。
「「再チャレンジ」失速気味 各省庁、追加要求ゼロ 目玉政策 具体策は見えず」(西日本新聞,10月26日)。
「安倍晋三首相が自民党総裁選前から訴えてきた「再チャレンジ支援」の取り組みが遅れ気味だ。政権発足から約1カ月経過しても、政策論議は一向に盛り上がらない。ようやく今月半ば、関係8省庁から職員を集め、内閣官房に担当室を発足させたが、新政権の目玉政策が“看板倒れ”になりかねないと懸念する声が早くも出始めている」。
「安倍首相は、官房長官だった今年3月、「失敗した人が何度でも挑戦できる社会」をスローガンに推進会議を設置。5月末には「2010年までにフリーターを最盛時の8割に減らす」「ハローワークで約22万人の障害者就職を実現する」など数値目標を入れた中間まとめを報告した」。
「今月11日、内閣官房に発足した担当室は、数値目標を実現する政策などを示した工程表を年内にまとめる任務を負う。山本有二金融・再チャレンジ担当相は「(政策の)優先順位、大きなテーマも絞り込みつつある」と強調するが、ある担当室スタッフは「16日にパソコンが配備されたばかり。具体的な仕事はこれから」と打ち明ける」。
「一方、政策を立案する各省庁の対応も鈍い。尾身幸次財務相は就任直後、来年度予算で再チャレンジ関連の追加の要求を受け付けると表明したが、現時点で追加要求はまったくないという」。
「各省庁は既に、財務省が概算要求(シーリング)をまとめた8月末の段階で安倍政権誕生を見越して再チャレンジ関連を続々、要求。ある経済官庁幹部は「今さら見直せと言われても」と冷めた表情を見せる」。
「もっとも、財務省も再チャレンジの名の下に歳出が拡大することは避けたいのが本音。追加要求する場合は、別の要求を取り下げることになるという。財政制度等審議会の西室泰三会長は「羊の皮を着たオオカミみたいなものは皮をはがし、しっかりと中身を見なくては」と安易な予算化をけん制する」。
「数値目標を実現するために各省庁の要求をどう束ね、工程表に位置付けるのか‐。日本総研の湯元健治調査部長は「再チャレンジ支援を総花的なバラマキ予算にしてはならない。今こそ、首相の指導力が問われる」と指摘している。 (東京報道部・萩原康行)」
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