国税庁による法人(企業)所得のまとめである。
①所得総額は統計史上4番目で,すでにバブルの時期に匹敵している。
②ただし,所得はバブル期以上に少数企業に集中している。
③高所得を反映して株主への配当は1年で約2倍(93%増)に伸びた。
④しかし,給与所得は抑え込まれて横ばいである。
額に汗してまじめに働くものへの「むくい」はどこにあらわれているのか。
「構造改革」路線の「成果」である。
「法人申告所得、14年ぶり50兆円突破・国税庁まとめ」(日経新聞,10月26日)。
「今年6月までの1年間(2005事務年度)に税務申告した法人の所得総額は、50兆3974億円(前年度比16.7%増)となり、1991年度以来14年ぶりに50兆円を突破したことが26日、国税庁のまとめでわかった。統計を取り始めた67年度以降で4番目に高い水準で、税務申告の面から景気の回復基調が裏付けられた。黒字申告1件当たりの所得金額も過去最高の5661万円(同14.5%増)だった」。
「法人税の黒字申告割合は31.9%(同0.4ポイント増)。90年度の50.0%に比べて低水準で、一部の企業が総額を押し上げる二極化が鮮明になった」。
「一方、赤字申告した法人の赤字総額は22兆7154億円(同2.7%減)で、3期連続で減少した」。
「全国の企業や公益法人など297万7000法人のうち276万7000件が税務申告し、法人数、申告件数ともに過去最高だった。申告税額は前年度より1兆4739億円(13.3%)多い総額12兆5969億円で3期連続で増加した。」
「 法人申告所得 バブル期水準に急回復、50兆円超す」(FujiSankei Business i. 10月27日)。
「■配当倍増、給与は横ばい」
「今年6月までの1年間(2005事務年度)に税務申告した全国の法人の申告所得額は、前年度比16・7%増の計50兆3974億円となったことが26日、国税庁のまとめで分かった。50兆円を超えたのは14年ぶりで、バブル期の水準に急回復した。黒字申告1件当たりの所得額も、14・5%増の5600万円で過去最高となり、景気回復基調が鮮明になった」。
「一方、源泉徴収された給与所得の税額は、10兆5407億円だった。5・6%増えたが、同庁は「1月からの定率減税半減で増税になったのを考えると、横ばいに近い」とみている」。
「株主への配当時に徴収した所得税額は2兆4900億円で、93%増えており、企業が業績回復で配当を増やしながら、給与水準は抑えている傾向が浮き彫りになった」。
「申告したのは、全国297万法人のうち276万法人。過去最高を更新したが、ほぼ横ばいだった。所得総額は、50兆円を割った1992年度以降、30兆円台前半から40兆円台前半の間で推移していたが、02年度の35兆円から3年連続の2けた増となり、大台を回復した」。
「黒字申告した法人の割合も3年連続で増え、31・9%になった。赤字申告法人の赤字総額は227000億円で、3年連続で減った」。
「海外取引に絡む申告漏れは、件数が30%増の885件、総額が24%増の5086億円で、ともに過去最高だった。企業活動の国際化が進んでいる上、所得の海外流出を防ぐ「移転価格税制」の適用が670億円増えたのが影響した」。
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