地方紙の奮闘ぶりをつたえる1つの社説。
非核3原則が「国是」だという閣僚がいる一方で,憲法は核武装を排除していないと繰り返し主張する閣僚もいる。
それでは混乱が起こるだけなので,いっそのこと非核3原則を法制化してはどうかというのが社説の提案。
それは世界に向けて核兵器廃絶をいう大きな根拠にもなっていくと。
北朝鮮の「核実験」問題で,政治家は冷静さを失うなとの指摘もある。
なお,安倍首相は非核3原則を「国是」とはいわず,いつでも転換可能な「政策判断」と表現している。
「核保有論議 「三原則」の法制化こそ 」(中国新聞・社説,11月1日)。
「個人的な立場での核保有論議についての発言は容認する。一方で、政府、自民党の機関では非核三原則を堅持する立場から議論しない。中川昭一政調会長らが日本の核保有論議の必要性を発言する度に問題化する事態を収束するための政府、自民党の見解である。
この見解は、変節したと指摘される安倍晋三首相の就任前の「個人としての安倍像」と、就任後の「首相としての安倍像」の使い分けの手法に似ている。なんとも、あいまいで危うさが潜む。
安倍首相や塩崎恭久官房長官は「非核三原則を国是として堅持する」と強調する。しかし、中川氏は講演などで相変わらず「憲法でも核保有は禁止されていない。議論があっていい」と持論を展開。麻生太郎外相も「議論をしておくのは大事だ」と言う。
こうした発言を個人的な立場と解釈するには無理がある。閣僚や与党幹部に公人と私人の区別はない。枢要な立場にある中川氏だからこそ米国の要人と会談する。そこで話す持論を、相手が個人の発言と受け止めるだろうか。
自民党内には、政治家が個人として中長期の課題についての意見を自ら研さんすることまで封殺してはいけないとの声もある。
安倍首相も「(中川氏は)アカデミックな場で議論がなされるとの観点から話しているのでは。私の責任の範囲外の議論は封殺できない」と述べる。学者が議論するのは当たり前だ。「中川発言」の本質をすり替えている。中川氏が首相と思想・信条など政治姿勢が近いだけに、擁護していると勘繰られても仕方がない。
自ら研さんするというのなら、中川氏らには広島、長崎で年老いた被爆者らの声をしっかり聞いてほしい。原爆の惨禍を体験した広島、長崎は核兵器と人類は共存できず、核廃絶だけが人類を救う方法であることを知っている。
ただでさえ北朝鮮問題をきっかけに諸外国の間では、日本が核武装を目指すのではないかとの懸念が強くなっている。
北朝鮮の核実験に政治家が冷静さを失っては、危機を増幅することはあっても国民を救うことには結びつかない。戦後六十一年間、日本は平和憲法と非核三原則で平和国家を築いてきた。そのことにもっと自信を持ってよい。
この際、非核三原則の法制化を目指すのも方法だ。政府が胸を張って、核廃絶に向け世界をリードできるのは間違いない」。
「核保有は憲法解釈よりも政策判断が大事=自民政調会長発言受け安倍首相」(朝日新聞,10月31日)。
「安倍晋三首相は、中川昭一自民党政調会長の核保有議論に関する発言に関連し、憲法解釈上核を保有することは可能かと聞かれ「(日本は)非核3原則の政策上、核保有を放棄している。政策上どう判断するかが大事だ」と答えた。官邸内で記者団に語った。
報道によると、中川政調会長は「憲法の政府解釈では、必要最小限の軍備の中には核も入るとしている。その片方で非核三原則がある。現実の政策としては核は持たないということになるが、憲法上は持つことができると政府は言っている」と述べたという。安倍首相は中川氏の発言について「法理論上の議論として言及したものと思う」との見方を示した」。
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