『経済財政白書』も,非正規の正規への転換をいいながら「構造改革」推進を主張していた。
まったく同じ矛盾の表明が,今回の『少子化白書』にもある。
少子化克服のために『白書』が提起する改善を実施するには,「構造改革」が推進する,①労働改革,②社会保障改革を根本から方向転換せねばならない。
これは,「構造改革」が健全な経済・社会の発展にまるで反していることの政府内部からの告発である。
「世界で最も少子高齢化進行する国」18年版少子化白書(産経新聞,12月1日)
「政府は1日午前の閣議で、平成18年版「少子化社会白書」を決定した。白書は、人口構造の国際比較を踏まえ、わが国について「世界で最も少子・高齢化が進行している国」と分析。17年に出生数が初めて死亡数を下回ったことなどを根拠に「人口減少は加速度的に進行する」と警鐘を鳴らしている。
白書は、(1)17年の出生数は前年比約4万8000人減の106万2530人で、初めて110万人台を割り込んだ(2)同年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数)が1.25と過去最低を更新し、欧米諸国に比べても低い-ことなどから、昨年同様、現在の日本を「超少子化国」と位置付けた。
年金や健康保険など国の社会保障給付費に占める児童・家族関係給付費の割合が、諸外国よりも小さい点も指摘した。
また、政府が目標とする「出生率の低下傾向の反転」に向けて、「まだ20、30代の人口層が厚い時期にインパクトのある対策を速やかに実施する必要がある」と分析している。これに伴う具体的な施策としては、乳幼児への児童手当制度の拡充や子育て支援税制の検討などを挙げた。」
少子化社会白書、父親の育児参加の必要性強調(人民日報日本語版,12月1日)
「06年版少子化社会白書が1日、閣議決定された。白書は「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」といった意識が強く、妻に育児を任せっきりにする現状などを指摘、父親の育児参加や働き方、意識改革の必要性を強調している。
05年は出生数が過去最低の約106万3000人となり、人口減が始まった。2050年には人口が1億人まで減り、高齢化率は35.7%になることが予想される。
核家族化や都市化、女性の社会進出が進むなかで、父親の育児参加は重要性を増している。しかし、内閣府が昨年実施した調査によると、日本では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方に賛成の人は57.1%にのぼり、米国(約43%)やスウェーデン(約9%)を大きく上回った。
6歳未満の子どもがいる女性が1日に育児・家事にかける時間は、日本では7時間41分なのに対し、夫は48分にとどまる。また、女性の7割が出産を機に退職。育児休業の取得も女性の72%に対し、男性は0.5%にすぎず、育児の負担が女性に集中している現状がうかがえる。
男性の育児参加を進めるには、長時間労働など現状の仕事優先の働き方を改め、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現することが重要だと指摘。企業や地域などを含め、社会全体で子育て家庭を支援する環境を整える大切さも訴えている。 」
最近のコメント