兵庫県内の話題3題である。
農業「構造改革」は大規模農家だけへの支援増をすすめるものとなっている。その国の動きへの足早い同調ということだろう。
それによって家族経営など小規模農家で行われてきた工夫や成果は,支援の外に放り出される。これは農業支援ではなく大農支援ということである。
背後には,国際競争力のない産業は淘汰されて当然だとの思想がある。ただし,自給率のますますの低下についてはまるで無頓着であるようだが。
他,県会副議長ポストをめぐる自民・民主の争い。ただし,これが県政運営の争いに発展する見込みはいまだなし。
県内の公共事業費低下については,但馬空港滑走路延長,武庫川ダム建設,神戸空港を関空とむすぶトンネル建設など,いまだ油断はまったくならない。
他方で,大企業への利益保障が,土建事業からさらに直接的な誘致補助金などに力点を移しているのは事実だろう。
兵庫県内の農業生産法人数、3年で25%増加(日経新聞,4月17日)
兵庫県内で集落や個人が法人を設立して農業を営む農業生産法人が増加している。県のまとめでは年初時点で前年比7.2%増の89社となり、3年前との比較では25%増えた。農水省が昨年、大規模農家に対し手厚く助成金を支給する制度を始めたことを受け、法人化で規模を拡大する動きに弾みがついた格好だ。
八幡営農組合(加古川市)は642戸の農家が合計330ヘクタールの土地を耕作するために2005年に設立した。農産物価格が下落した時に国から助成金を受けられる基準を満たしたほか大型機械の導入で作業が効率化した。
県は「コメなど農産物取引の規制緩和に対応して集落単位で法人化を目指す動きが今後も増える」(農林水産部)と予想する。
個人農家も法人化すれば社員の採用や事業の継承がしやすくなり規模拡大につながるため、株式会社に衣替えする例も増えている。
県は農業生産法人を含む大規模農家が耕作する農地の比率を04年度の28.9%から15年度に66.6%に高める計画だ。
県会各会派は二十日、改選後の新しい議会活動の方針と新役員を発表した。過半数四十七人の確保を目指す自民は、現段階の見込みは「半々」とし、初の過半数割れの危機に陥るが「県政の意志決定は自民だ」と最大会派であることを強調した。民主は「自民を過半数割れに追い込む」と意気込む。今年七月の参院選をにらみ自民、民主のつばぜり合いは激しさを増している。
県議選で大敗しながらも四十三人を確保した自民。新幹事長になった加茂忍議員は「事務局に人数を報告する二十三日には四十五人、任期開始の六月十一日には過半数四十七人の確保を目指す」とした。過去独占してきた正副議長のうち副議長ポストが焦点となっており、加茂議員は「譲るつもりはない」と強気の姿勢をみせた。
民主は、改選前の十九から二十一議席に伸ばしたことを背景にポストを要求する方針。新幹事長に就任した芝野照久議員は「(自民を)過半数割れに追い込むためにも無所属組を加えたい。最高二十五人になる可能性がある」と勢力増を示唆した。
公明の団長、野口裕議員は「自民が過半数割れとなれば影響は大きい。当局提案がスムーズに通らなくなるかもしれない。福祉や子育て支援はじめ、公明の主張はこれまで以上にしっかりとやっていく」と話した。
共産、みどりの風、無所属議員らは、いずれも議案提出に必要な八議席に満たないため、施策ごとの連携ができるかを探っている。
県内公共工事、11年連続前年割れ 06年度(神戸新聞,4月19日)
西日本建設業保証兵庫支店が十八日まとめた二〇〇六年度の兵庫県内公共工事請負金額は、三千百六十七億六千三百万円(前年度比19・2%減)となり、十一年連続で前年割れとなった。
大型公共工事抑制の傾向が続いていることに加え、〇五年度に集中した台風被害復旧工事が大幅に減少したのが主因。
地区別では阪神競馬場の馬場改造工事の受注が済んだ「阪神北」や、〇五年度に膨らんだ災害工事の反動が出た「淡路」で半減。神戸・ポートアイランドなどでの大型工事が一段落した「神戸市」でも減少した。
一方、住宅地開発などが進む尼崎、西宮、芦屋の「阪神南」でインフラや学校整備などが進み、前年度比11・9%増と県内で唯一増加した。
なお、三月単月では請負金額が三百二十五億九千二百万円(前年同月比5・8%減)と四カ月ぶりのマイナスとなった。(浅野真紀)
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