南アジア地域首脳会議の記事である。
インドとパキスタンが手を取り合うことで,加盟8ケ国の共同が進んでおり,すでに自由貿易協定も発効している。
今回はじめて,米・欧・中・日・韓のオブザーバー参加も認めている。このバランス韓国もなかなかのもの。
麻生外相の演説は,インド・オーストラリアと手を組めば,アジアはなんとかなるという『美しい日本』の延長路線のようである。
南アジア地域首脳会議開幕 平和・信頼の地域へ 印パ両国が協力を強調(しんぶん赤旗,4月4日)
【ニューデリー=豊田栄光】第十四回南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が三日、インドのニューデリーで二日間の日程で開幕し、各国首脳が対立を乗り越え、平和と信頼の地域機構にむけ前進しようと訴えました。
議長国インドのシン首相は隣国パキスタンとのこれまでの対立問題を念頭に、「私たちの発展の可能性を阻害してきた二国間の政治問題に、加盟国政府が対処していることに希望を感じる。過去を打ち破り、共通の目標実現に向けて手を取り合おう」と訴えました。
パキスタンのアジズ首相は「南アジアを活気に満ち、進歩と繁栄の地域に変えるために、知恵と同様に勇気を示すことは集団的な責務だ。そのためには考えや態度を変えることが求められる」と語り、対立ではなく、対話と協力の深化によるSAARCの発展を強調しました。
SAARCは一九八五年に、インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブの七カ国で発足しました。
発足時に制定されたSAARC憲章は、「国連憲章と非同盟の諸原則、とりわけ主権の平等、領土保全、国家の独立、武力の不行使、他国の内政不干渉、紛争の平和的解決の原則を尊重し、地域の平和、安全、友好、発展の促進を希望する」とうたっています。
しかし、カシミール地方の領有権を争うインドとパキスタンは、九〇年代に武力衝突を含む対立を激化させ、SAARCの活動も停滞していました。
その後、和平対話を前進させるなど印パ両国の関係改善が大きく影響し、SAARCにも新たな発展の展望が出てきています。前回首脳会議(二〇〇五年十一月)では貧困削減基金の設立に合意し、〇六年一月には南アジア自由貿易協定(SAFTA)が発効。地域統合へ向けた歩みを前進させています。
南アジア地域協力連合の首脳会議開幕、日中外相も演説(読売新聞,4月3日)
【ニューデリー=永田和男、尾山宏】南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が3日、ニューデリーで2日間の日程で開幕した。
加盟8か国首脳の演説に続き、オブザーバーとして今回初参加した日本と中国の両外相も演説し、インドを中心に経済成長が続き、戦略面でも重要性を増す南アジア地域に積極的支援を行う意向を示して影響力を競い合った。
麻生外相は英語による演説で、「南アジアこそ日本が目指す『自由と繁栄の弧』の主柱だ。日本はSAARCの課題にさらなる貢献をする」と述べ、加盟各国の開発と民主化進展への支援強化を表明した。日本政府は具体的支援策として<1>パキスタンへの選挙監視団派遣<2>ブータンへ36億円の初の円借款供与<3>アフガニスタンの平和構築支援継続――などを行う方針だ。
中国の李肇星外相は演説で、「SAARCによる平和と安定、開発の追求を支持する」と述べ、中国・SAARC間に常設対話機構を設けて、自然災害対策やインフラ、エネルギーなど様々な分野で協力を深める構想を示した。李外相は「中国企業の対南アジア投資を奨励する」とも述べるなど、経済関係強化に意欲を示した。
議長国インドのシン首相は演説で、「南アジア各国は空前の経済的活力と社会的変革のさなかにある」と述べ、国際社会が同地域に一層の関心を払うよう呼びかけた。
テロ対策が焦点=日本も初のオブザーバー参加-南アジア首脳会議(時事通信,4月3日)
【ニューデリー3日時事】南アジア8カ国の首脳が集まる南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議が3日、ニューデリーで2日間の日程で始まった。開会会合で各国首脳は、地域の発展を阻害する大きな要因としてテロリズムを挙げ、加盟国が協調しての対テロ戦の必要を訴えた。
今会議では、アフガニスタンの新規加盟が認められたほか、日本、中国、米国、韓国、欧州連合(EU)が初めてオブザーバーとして参加した。会議ではテロ対策のほか、「域内の連結性」をテーマに、加盟国をつなぐ交通や通信インフラのほか、域内の貿易、人的交流の促進などが話し合われる。
麻生太郎外相は開会会合で演説し、日本が新興国の民主化や経済発展を支援する「自由と繁栄の弧」構想に言及。「南アジアは『弧』の主柱であり、SAARCとの協力はこの政策(構想)に沿うものだ」と述べ、国家再建を進めるネパールや2008年に初の総選挙を控えるブータンへの民主化支援を継続する方針を強調した。
コメント