「アジアの未来」での議論だが、そもそも東アジア共同体への加盟国の範囲について、マレーシア等と日本、アメリカには大きな相違が残されている。
マレーシアのアブドラ首相は、「共同」の枠組みと、「連帯」の枠組みとの区別についても語っている。
「東アジア共同体協力、多方面に拡大を」(中央日報、5月26日)
「東アジア共同体の設立をどう具体化するのか」。日本経済新聞主催、中央日報後援の第13回「アジアの未来」国際会議はこの話題に取り組んだ。東京帝国ホテルで2日間の日程を終え、25日閉幕した今年の会議では、領域内自由貿易協定(FTA)問題と北朝鮮の核問題解決法にも知恵が出された。
◆東アジア共同体参加国の範囲は=マレーシアのアブドラ首相は東アジア共同体構成国家を「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(韓中日)の13カ国」に限定すべきだと主張した。日本や米国の参加者とは異なる見解だ。
二階俊博自民党国会対策委員長は「オーストラリア、ニュージーランド、インドを含む16カ国の包括的提携が必要だ」と述べた。
ミシャラク米国務省アジア太平洋経済協力会議(APEC)大使は「米国とロシアも含むAPEC21加盟国が参加しなければならない」と主張した。
しかしアブドラ首相は「真の共同体は共通のアイデンティティー、戦略、価値観が必要」とし「すべての面で深い関係が必要な‘共同体’と経済分野に限定した‘連帯’とは区分して考えなければならない」と強調した。
キエム・ベトナム副首相兼外相は「東アジア共同体の流れは大勢であり、経済・貿易だけでなく科学・技術・教育などでも共同体間の協力対象を拡大していこう」と提案した。
しかしシンガポールのリー・クアンユー元首相は「東アジア各国は欧州連合(EU)のような共通言語もなく、宗教・文化も違うという点を考慮すれば、EUのような統合は容易ではない。ひとまずFTAから始め、徐々に範囲を拡大していくのがよい」とし、東アジア共同体の早期設立にやや否定的な立場を表明した。
◆韓米FTAは新しいモデル=先月交渉が妥結した韓米FTAと最近浮上している米国・日本間FTAにも大きな関心が見られた。
米国のミシャラクAPEC大使は「韓米FTAは複雑でありながらも発達した2つの経済が高い水準のFTAに到達可能だったという点で未来のモデルになりうる」とし「韓米FTAに似た形態でこの地域でもう一つのFTAが結ばれるかもしれない」と語った。
日米間FTAについては「日本がFTA締結を望むのなら、質の高い合意を目標にするべきであり、その中には当然、農業部門が含まれなければならない」と強調した。
リー・クアンユー・シンガポール元首相は「アジア各国は農業など難しい問題を抱えているが、結果的に貿易の競争力確保レベルで全ASEAN(10カ国)とFTAを締結することになるだろう」とし「ただ、問題解決には3年以上、FTAの恩恵を享受するまでには10年ほどかかるはず」と予想した。
◆北核問題は長期戦略が必要=日本の田中均元外務省審議官は「北朝鮮が本当に核兵器を放棄するかどうかが最大の関心事だが、北朝鮮はまだ最終決断を下していないようだ」とし「北朝鮮が核を放棄しない場合、周辺国は途方もない犠牲を払うことになるだろう」と展望した。
韓昇洙(ハン・スンス)元外交通商部長官は「北朝鮮の核問題を解決するためには北朝鮮と米国・日本が国交を正常化する必要がある」と述べた。
ジョセフ・ナイ米ハーバード大教授は「北朝鮮の遅延策を阻止するためにはニンジンとムチを使う長期的戦略が必要だ」とし「しかし北朝鮮政権は今後10年以内に崩壊する可能性が高いと見る」と診断した。ナイ教授はまた「こうした短期的危険が存在するため、6カ国協議の合意を徹底的に守る必要があるが、この過程で中国の役割が重要」と付け加えた。
王毅・駐日中国大使は「6カ国協議初期合意の最終目標は、ジュネーブ合意当時のように核凍結ではなく完全な核放棄」と述べた。
「東アジアをつなぐ鉄道が共同体形成の核心」…韓元総理が講演(中央日報、5月26日)
韓明淑(ハン・ミョンスク)前総理は「韓国が東アジア経済共同体の形成で最も重要だと考える分野は物流であり、特に東アジアを一つにつなぐ鉄道の連結はその核心」と明らかにした。
韓氏は24日、「アジアの未来」フォーラム講演で、「昨年11月の国連アジア太平洋経済社会理事会(UNESCAP)交通相会議で締結したアジア横断鉄道網(TAR)協定は、アジア大陸を21世紀の世界経済の中心に発展させられる核心的基盤」と強調した。
韓氏は「こうした点で17日に半世紀ぶりに連結した南北鉄道は、TAR建設の夢を現実化できる道を開いたという意味があり、今後も重要なカギになるだろう」と意味づけした。
韓氏はまた「共同体の核心はやはり人であるだけに、経済活動の主体である企業関係者の国家間移動が徹底的に保障されなければならない」とし「このためアジア各国が企業関係者に対するマルチビザの発給を認め、その適用範囲を拡大していくべきだ」という意見を提示した。
国家と国家が鉄道で連結し、人がより自由に行き来し、‘ユビキタス’技術でつながれば、アジア共同体建設の夢は早期に実現できるということだ。
韓氏は「ただ、国家間の開発格差と文化的な差を克服できなければ、いかなる協力と統合も成功しない」とし「各国が貧困減少プログラムを共同で樹立し、包括的な人的資源開発プログラムを運営することで、アジア国家間の経済格差と開発格差を減らしていこう」と提案した。
また「北朝鮮核問題は単純に韓国と北朝鮮の問題ではなく、アジア全体の平和の基礎であるだけに、アジアすべての国家がこの問題の平和的解決と韓半島の平和定着に共同の関心を持ってほしい」と訴えた。
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