ドイツでのハイリゲンダム・サミットに先立つG8財務相会合の様子である。
ヘッジファンドへの規制をめぐり、ドイツとアメリカ・イギリス・日本の意見が対立した。
ドイツはヘッジファンドが金融市場の攪乱要因となるとして、自主的な行動規範の策定を主張。
これに対して新自由主義3国が反対した。
どのような市場をもって適切とするかという、そもそもの基準にずれがあるのだろう。
ヘッジファンド監視強化で一致、直接規制見送り・G8閉幕(日経新聞、5月19日)
【ポツダム=米山雄介】主要8カ国(G8)財務相会合は19日午後(日本時間同日夜)、共同声明を採択して閉幕した。世界経済は引き続き堅調としつつ、不安定なエネルギー価格について警戒が必要と明記。世界的な不均衡是正に向けて各国が成長強化へ努力する方針を確認した。焦点のヘッジファンド問題では直接の規制は見送り、ファンドにリスク管理や情報公開を促すかたちで間接的に監視を強化することで合意した。
財務相会合は、6月6―8日にドイツ・ハイリゲンダムで開く主要国首脳会議(サミット)の準備会合。声明は世界経済について「堅調で均衡がとれている」と指摘。円安・ユーロ高など為替相場の動向には言及しなかった。
ヘッジファンドについては「金融システムの効率性に貢献している」と評価する一方、取引の複雑化などを踏まえ「警戒が必要」との見方で一致。ドイツが主張した自主的な行動規範の策定は見送ったが、ファンドに対し、取引金融機関や投資家への情報公開を自主的に強化するよう促した。
ヘッジファンド監視強化 G8財務相声明 金融機関に管理促す(西日本新聞、5月20日)
【ポツダム(ドイツ東部)19日共同】主要国(G8)首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の準備のため、ドイツのポツダム近郊で開かれた財務相会合は2日目の19日午後(日本時間同日夜)、巨額の資金を投機的に運用するヘッジファンドに対する監視強化を打ち出した声明を採択、閉幕した。
直接的な規制やドイツが提案した自主的な行動規範は見送るものの、ヘッジファンドに金融機関などへの情報開示を拡充させ、監督当局が金融機関にヘッジファンドに関するリスク管理を強化するよう促すことで間接的な監視を徹底し、国際金融市場をかく乱する事態を防ぐ。
世界経済について「成長は堅調で、より均衡が取れている」と明るさを強調する一方、エネルギー価格の高騰に懸念を示し、引き続き警戒する方針を明記した。
尾身幸次財務相は、ヘッジファンドに融資する金融機関と先進7カ国財務相の会合を10月に開くことを提案、了承された。議長国ドイツのシュタインブリュック財務相は会合後の会見で「お互いにゆっくり歩み寄っている」と成果を強調した。
声明は、ヘッジファンドが金融システムの効率化に貢献していることを評価する一方で、取引の複雑化などを踏まえ、混乱を招かないよう警戒する必要性を指摘。運用担当者の実務基準を見直し、取引金融機関や投資家への情報開示を強化するよう促した。
金融機関や投資家には、ヘッジファンドの投資内容やリスク情報を適時適切に把握するよう要求。監督当局は金融機関を通じ、ヘッジファンドの動きを監視する。
気候変動問題に対応するため、エネルギー効率向上などを進める方針を表明。世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の妥結の必要性も盛り込んだ。円安が進行する為替相場については、声明で言及がなかった。
アフリカ開発と新興市場国の債券市場育成について、それぞれ行動計画を承認した。
米国のポールソン財務長官は欠席し、キミット副長官が代理を務めた。
ヘッジファンド監視を強化=自主ルール導入は見送り-G8財務相会合、閉幕(時事通信、5月19日)
【ポツダム(ドイツ東部)19日時事】当地で開かれていた主要8カ国(G8)財務相会合は19日午後(日本時間同日夜)、ヘッジファンドの監視強化を打ち出した共同声明を採択して閉幕した。ドイツが主張したファンド業界に透明性を求める自主ルールの導入は見送られた。
会合は、先進7カ国(G7)などで組織する「金融安定化フォーラム」が提言したファンド監視の在り方を踏まえ議論。議長国のドイツは、巨額資金を投機運用するヘッジファンドが金融市場のかく乱要因になるリスクを強調した。
一方、米国や英国、日本などは「自主ルールの策定を規制当局が求めること自体おかしい」(尾身財務相)と反論。声明には「ヘッジファンドは金融システムの効率性に大きく貢献している」との表現が盛り込まれ、ファンドの取引相手である金融機関の監督を通じた間接的な監視が十分機能するという米英の主張が反映された。
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