かつての戦争で敵国同士であった、アメリカとベトナムの経済交流が深まっている。
ベトナム戦争で無策別殺戮を繰り返したアメリカに、他国の「人権」を口にする資格が十分あるとは思えず、ベトナム側も反論をしているようす。
だが、それでも交流は深まっていく。
米・ベトナム首脳が会談、経済や人権巡り議論(読売新聞、6月23日)
【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は22日、ベトナム戦争後、国家元首として初めて訪米したベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席(大統領)とホワイトハウスで会談した。
米国との貿易・投資関係の拡大を主眼とするベトナム側に対し、米側は宗教の自由や民主化の現状を取り上げ、経済関係と人権問題のバランスを探る議論が交わされたとみられる。
ベトナムでは今年に入って、民主活動家やカトリック神父が拘束される事件が相次ぎ、ブッシュ政権と米議会はベトナムの人権状況の改善を求める姿勢を強めている。主席訪米を前にベトナム政府は5月、3人の活動家を釈放したが、ホワイトハウスは「ベトナムにはまだやるべきことがある」(国家安全保障会議報道官)と、ベトナムの人権状況の改善を求める姿勢を明確にしていた。
一方、会談に先立ちチェット主席は21日、米越貿易・投資枠組み協定に署名した。約100人の経済界代表とともに訪米した主席は、米国の経済界代表との会合で「米国の投資を支援するため最善を尽くす。良好な経済環境を実現するため努力している」と、かつての敵国との経済関係拡大に意欲を示した。
ベトナムからは2005年にファン・バン・カイ首相(当時)がベトナム戦争後、同国の首脳として初めて訪米。ブッシュ大統領は昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に、クリントン前大統領に続く2人目の米大統領として、ハノイとホーチミンを訪問していた。
ベトナム大統領、米の人権批判に反論・経済関係強化を訴え(日経新聞、6月23日)
【ワシントン=加藤秀央】訪米中のベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席(大統領)は22日、米AP通信のインタビューで人権政策について「改善するかしないかという問題ではない。法に違反した者は(処罰の)扱いを受ける」と述べ、民主活動家や宗教関係者らに対する不当な弾圧だとの批判に反論した。
ブッシュ米大統領は同日、チェット大統領との会談後に記者団に、「表現や信教の自由があれば社会は豊かになるという私の信念を説明した」と語り、会談で人権政策の改善を求めたことを明らかにした。米議員団もこの後、チェット大統領に同様の注文をつけたという。
チェット大統領はホワイトハウスで記者団に、信教の自由や人権問題で違いがあることを認めつつ「この違いがより大きな二国間の利益に影響を与えてはならない」と訴え、米越の経済関係強化の方が重要だとの考えを強調した。
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