米財務長官のポールソン氏が、胡錦濤主席と会談しているが、人民元改革を急ぐことについて、特に新たな進展はなかった様子。
ポールソン氏は実に慎重だが、中国からアメリカへの輸出の半分がアメリカ企業によるものであり、背後には安い元から利益を得ている大企業の意向もあるのだろう。
米財務長官、人民元改革で中国の譲歩引き出せず(日経新聞、8月1日)
【北京=藤井一明】ポールソン米財務長官は1日、中国の胡錦濤国家主席と会い、人民元改革の加速を改めて促した。昨年7月の就任以来1年で四度目となる訪中によって米議会で台頭する対中強硬論を和らげる考えだったが、中国側との会談は原則論の応酬にとどまった。目立った譲歩を引き出せなかったことで、米国では人民元を標的にした為替法案の可決に弾みがつく見通しだ。
「青海湖はいかがでしたか」。胡主席はポールソン長官が30日に訪れた中国西部の塩水湖の話題を切り出した。バードウオッチングが趣味の長官は野球帽にサングラスというラフな姿で視察し、緑化に取り組む現地の様子を聞いた。胡主席には「中国の環境保護の取り組みをうれしく思います」と応じた。
ポールソン長官の対中戦略は二つ。「対立をあおらない」と「トップに直接会う」。ゴールドマン・サックスを率いた民間人として培った中国への対処法だ。
米財務長官、胡中国主席と会談=人民元改革で具体策への言及なし(時事通信、8月2日)
【北京1日AFP=時事】中国を訪問中のポールソン米財務長官は1日、北京で中国の胡錦濤国家主席と会談し、米中戦略経済対話などについて話し合った。ポールソン長官は「対話は極めて重要な時期にある」とし、「呉儀副首相と共に、この対話を2国間の摩擦を和らげ、対立に対処し、諸問題を解決するための懸け橋に変えるため努力する」と強調した。人民元改革についても話し合ったとみられるが、具体策への言及はなかった。
これに対し胡主席は「中国は戦略的な協力を強化し、適切な方法で互いに関心のある諸問題に対処するため、米国と協力する用意がある」と述べた。胡主席はさらに、「中米経済関係の健全かつ安定した発展を維持することは、われわれ両国のためだけでなく、世界経済の健全かつ安定した発展にとっても必要である」と指摘した。
ポールソン長官は胡主席との会談に先立って新華社通信とのインタビューで、米上院財政委員会で先週、中国の人民元を念頭に置いた為替相場の修正を迫る法案が可決されたことに言及し、同法案に反対を表明するとともに、「立法化は通貨問題に対処する適切な方法ではないとの財務省の見解以上のことを言うつもりはない」と述べていた。 〔AFP=時事〕
米上院銀行委員会、人民元改革促す法案を可決(朝日新聞、8月2日)
[ワシントン 1日 ロイター] 米上院銀行委員会は1日、中国の人民元改革を促す法案を可決した。ブッシュ政権は、こうした法案が成立すれば世界的に保護主義の波を引き起こすと批判している。
法案は「為替操作国」の定義を強化し、財務省に対し、巨額の経常黒字と大幅な対米貿易黒字を抱える国を「為替操作国」と認定することを義務付ける内容。当該国の意図にかかわらず「為替操作国」を認定することも求めている。
賛成17、反対4で可決された。
前日には、ポールソン財務長官、シュワブ通商代表部(USTR)代表、グティエレス商務長官が、人民元問題をめぐる議会の動きは、世界の保守主義の流れを強め、米国にとって裏目に出る可能性があると主張していた。
上院では先週、財政委員会も、「為替相場がファンダメンタルズからかい離した」国が必要な改革を怠った場合、反ダンピング(不当廉売)課税を適用できるという中国を念頭に置いた法案を可決している。
コメント